[粕谷秀樹]メンディとアリが健康体を手にできずに苦悩 見習うべきはC・ロナウドの姿勢だ
粕谷秀樹のメッタ斬り 020
今季ここまで公式戦4試合しか出場していないメンディ photo/Getty Images
グアルディオラに突き放された
「いったい、いつまで二軍におんねんっ!」
読売ジャイアンツの坂本勇人が、桜井俊貴をどやしつけたことがあったという。キャプテンとして当然だな。今シーズン途中からローテーションを守ったけれど、桜井は二軍暮らしも長かった。2016年のドラフト1位にもかかわらず、周囲の期待にはなかなか応えられなかったからね。
マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラ監督も、バンジャマン・メンディには手を焼いている。「とてつもないクオリティを持った選手だが、ときどきぶん殴りたくなる」と語ったように、五体満足のときは申し分ない。強靭な肉体を駆使しながら、左サイドで異彩を放つ。
ところが四六時中、膝を痛めている。リハビリに励んでいればいいものを、SNSで話題を振りまいたり、ナイトクラブに現れたり、自己管理が緩すぎる。さすがのグアルディオラも憤懣やるかたなく、メディアを通して警告した。
「レギュラーポジションは力で取り、確保するものだ。ケガが絶えず、それでいてリハビリも怠るようなタイプは、レギュラーポジションどころか、試合に出る資格すらない」
メンディはもはや左サイドバックの一番手ではなく、他の選手と争ってポジションをつかみなさいってことだよね。今シーズンも早々と膝を痛めた。グアルディオラは半ば突き放している。メンディは、覚悟しないとシティからほっぽり出されるだろうな。
メンディ同様に公式戦4試合の出場にとどまっているアリ photo/Getty Images
ハムストリングの痛みは致命傷
「またかよ~」
トッテナムのマウリシオ・ポチェッティーノ監督も頭を抱えている。デル・アリのハムストリングが悲鳴を上げた。この1年半で4回目。癖になっているのだとしたら、かなりヤバい。
リヴァプールで一世を風靡したマイケル・オーウェン(現コメンテイター)も、レアル・マドリードやマンチェスター・ユナイテッドでは、この症状でほとんど活躍できなかった。アスリートにとっては致命傷になりうる危険な痛みだね。
そこでアリは専門の栄養士を雇い、体質改善に取りかかった。食事にたんぱく質を多く採り入れ、糖分はカット。積極的に水分を補給する。また、コマーシャル活動を縮小するなど、五体満足な肉体を取り戻すために懸命だ。
いい傾向だと思うよ。自分自身と真剣に向き合ったからこそ、専門の栄養士を雇ったわけでしょ。精神的な成長と考えられるよね。健康に無頓着だと先は長くない。トッテナムの先輩では、ポール・ガスコインが酒で身を滅ぼした。30歳を過ぎたクリスティアーノ・ロナウドがなぜ活躍できるのか、アリだけではなく、全アスリートが参考にしなくっちゃ。彼は人一倍、コンディションに気を遣っている。感染症のリスクを伴うとの理由で、タトゥーは絶対に入れない。
メンディは25歳、デル・アリ23歳。若いといっても健康管理だけはしっかりしないとね。せっかくの才能が台無しじゃん。
文/粕谷秀樹
スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。