中川&長倉は結果を出した 鈴木章は背負うものが多い
選手層が厚いなか、中川は結果を残してスタメンを勝ち取っている Photo/Getty Images
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7月を迎えてJ1、J2はシーズンの半分以上を消化し、後半戦へと折り返しています。Jリーグではシーズン前半と後半ではチームがガラッと変わるケースがあります。
とくに今年はクラブW杯が開催されたため、6月1日から10日まで例外的な移籍期間がありました。シーズン序盤から活躍する選手がいれば、徐々に出場機会が増えていった選手もいます。さらには、移籍期間にチームを動いた選手がいます。それぞれの選手が、中断明けにどんなプレイをみせてくれるかとても楽しみにしています。そこで今回は、私が個人的に注目する6選手を紹介したいと思います。
中川敦瑛は法政大から柏に今季加入した大卒ルーキーのボランチで、主力にケガ人が続出したことで出場機会を得て、20節東京V戦から4試合連続で先発しています。横浜FCのアカデミー出身で、当時はアタッカーでした。そのため、活動量があって前に出ていくセンスがあります。頭角を現した東京Vと戦ったルヴァン杯では得点もしています。
23節を終えて柏は首位に立っています。中川敦瑛は3-4-2-1のシャドーでも生きると思います。これから優勝争いをするなか中心選手としてどれだけ躍動できるか、引き続きの活躍を期待しています。
長倉幹樹は浦和から下位に低迷するFC東京に期限付き移籍し、4試合2得点と救世主になりつつあります。松橋力蔵監督とは新潟時代に一緒にやっていたので、スタイルをわかっています。短期間でチームにフィットし、攻撃のアクセントになっています。
ライン間でボールを受けて前を向くなど、いろいろなことができる器用なタイプです。まわりを生かす能力もあり、マルセロ・ヒアンや仲川輝人との共存も可能なので攻撃に幅が生まれています。長倉幹樹の加入は、FC東京にとって大きかったと思います。
鈴木章斗は湘南で背番号10をつけ、キャプテンマークも巻いています。去年が二桁得点、今年も3節までに3得点していましたが、その後は得点がありません。背負うものが多すぎてプレッシャーになっているのかもしれません。いろいろできるタイプですが、もっとシンプルにゴールへフォーカスしていいと思います。
同い年で誕生日が近い鈴木淳之介が日本代表で結果を残し、欧州移籍のためにチームを離れました。年齢が近い畑大雅、福田翔生も欧州移籍となりました。考えることが多いと思いますが、私は鈴木章斗も日本代表入りできる器だと感じています。プレッシャーから解放され、ひたむきにゴールを目指す姿がみたいですね。
谷村は横浜FMを救えるか 渡邉は水戸をJ1へ導くか
鈴木章はゴールにフォーカスしてほしい Photo/Getty Images
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J1で最下位に沈む横浜FMに加入した谷村海那は、J2のいわきで昨年二桁得点し、今年も全試合フル出場で8得点していました。足元の技術力が高く、フィジカルも強くてしっかりと戦える選手です。なにより、得点力があります。アンデルソン・ロペスが移籍濃厚で、遠野大弥がケガで離脱しているいま、その活躍に横浜FMの明暗がかかっています。
初挑戦となるJ1でこれまでと同じようにゴールを奪えるか、どれだけ通用するか注目しています。というのは、J1はやはり能力が高い選手が多く、J2→J1で苦しむケースもあります。横浜FMには“オリジナル10”のプライドがあり、降格回避に向けたプレッシャーが半端ではないと思います。ただ、いままで以上に良いボールが入ってくると思います。チャンスを逃さず、谷村海那にはゴールにフォーカスしたプレイをしてほしいです。
J2の首位に躍り出た水戸では、経験豊富な渡邉新太が加入1年目ですんなりチームにフィットし、22節を終えて10得点5アシスト(J2得点ランク1位タイ)で若い選手が多いチームを引っ張っています。上背はないですが、得点パターンがすごく多彩で躍動しており、持ち味である得点力をいかんなく発揮しています。
シーズン後半戦では対戦相手が“水戸対策”を練ってくると思います。実力あるチームが手ぐすね引いて首位から引きずり降ろそうとしてきます。昇格が近づけば近づくほど、プレッシャーも大きくなっていくでしょう。そうしたときこそ、渡邉新太の経験が生きてきます。彼がこれまでのペースと変わらずにゴールを奪えたなら、いよいよ昇格がみえてきます。今年はJ1で中国ダービーが実現しましたが、来年は茨城ダービーが開催されることを期待しています。
小竹知恩は清水のアカデミーからトップに昇格したルーキーで、シーズン前半戦は2試合17分の出場にとどまり、J3の群馬へと育成型期限付き移籍しました。この選手はもともとFWで、見るからにフィジカルモンスターで相手を跳ね飛ばす力強さがあります。清水ではワイドなポジションでプレイしていましたが、ウイングバック、シャドー、トップでの起用も可能なので群馬でどのポジションを務めるか注目しています。
J3のなかで群馬は苦戦していますが、プレイオフ圏内まで勝ち点8差(19節終了時)でまだまだ可能性があります。覚悟を持って移籍したと思うので、小竹知恩にはこのチャンスを生かしてチームをJ2昇格に導くぐらいの活躍をしてほしいです。