[ロシアW杯#16]レヴァンドフスキ完封! セネガルの“組織的な守備”は日本も苦戦必至?

ただ守るだけではない! セネガルの勇敢な守備

ただ守るだけではない! セネガルの勇敢な守備

2点目のゴールでセネガルが勝利を手繰り寄せた。喜びを分かち合うメンバーたち photo/Getty Images

グループHの4か国で最もFIFAランクが高いポーランドを相手に、セネガルが内容の伴った勝利を挙げ、02年以来の出場となる本大会で理想的なスタートを切った。

序盤から際立ったのは、セネガルの組織的な守備だ。縦横ともにコンパクトな4-4-2システムを敷き、ポーランドに縦パスを入れる隙を与えない。相手MFのジエリンスキが繰り出すサイドチェンジには、素早いスライドで対応。敵の攻撃が遅れれば、ここぞというタイミングでボールを奪いにかかり、まずは守備でリズムを掴もうとする意図を感じさせた。

18分、その狙いがハマる。自陣でのインターセプトに成功した左SBのサバリが、ボール奪取の余勢を駆り、ハーフウェイラインまでドリブルで侵攻。そこから相手DFライン裏にパスを送り、スペースに飛び出したニアングが左足のシュートに持ち込んだのだ。得点には結びつかなかったが、この鋭くて速いカウンターは、ただ守るだけではないというセネガルの勇敢さを感じさせるものだった。
冷や汗をかいたポーランドは20分、ようやく1本目のシュートを放つ。ジエリンスキのキックミスに反応したグロシツキがゴール前でヘディング。しかし、この一発は枠の上に外れ、3分後にレヴァンドフスキが難しい体勢から放ったシュートとともに、セネガルの守護神K・エンディアイェを脅かすような一発にはならなかった。

ミリクが続けざまにパスミスを犯すなど、波に乗れないポーランドをよそに、組織だった守備を見せるセネガルが36分、待望の先制点を奪う。ピシュチェクとの競り合いを制してマイボールにしたニアングが左サイドを侵攻。バイタルエリアまで突き進むと、エースのマネを経由して、ボールはゲイェの元へ。そしてこの試合、攻守に渡って獅子奮迅の働きを見せることになるMFが思い切って右足を振り抜くと、チオネクに当たってコースの変わったシュートがゴールマウスに吸い込まれた。

ギアを落とさなかったセネガル アフリカ勢に今大会初の白星

ギアを落とさなかったセネガル アフリカ勢に今大会初の白星

セネガル守備陣の徹底マークに合うポーランドのエース。鳴りを潜めたレヴァンドフスキ photo/Getty Images

良い守備からの良い攻撃を展開していたセネガルは、リードを奪った後もギアを落とさない。とりわけセカンドボールを回収する速さと、局地戦での強さ、そしてレヴァンドフスキへのパスコースを封鎖する守りは見事で、相手にボールを委ねながらもゲームをコントロール。まるでヨーロッパの列強のようなしたたかな試合運びを見せ、1点リードで後半を迎える。

追加点を奪った時間も理想的だった。4-2-3-1から3-4-3にシステムを変え、サイドから攻撃の糸口を掴みかけていたポーランドを突き放すように、60分、治療から戻ったニアングが相手のバックパスミスを拾い、GKをかわして無人のゴールにボールを流し込んだのだ。これで2点差としたセネガルの指揮官は、FWディウフを下げて、中盤にエンドイェを投入。チームの守備意識をさらに高めて、逃げ切りを図る。

この交代策が吉と出たのは、最後まで流れの中からポーランドに決定機を作らせなかった事実が物語っているだろう。86分にセットプレイから1点を返されたものの、同点のピンチには瀕することなく快勝。守備時の高い組織力と相手のお株を奪うような試合運びを見せたセネガルが、アフリカ勢に今大会初の白星をもたらした。

[スコア]
ポーランド代表 1-2 セネガル代表

[得点者]
ポーランド代表:クリホビアク(86)
セネガル:チオネク(37、OG)、ニアング(60)

文/遠藤 孝輔

theWORLD204号 2018年6月20日配信の記事より転載

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