ハリル監督の解任理由は? 田嶋JFA会長「選手との信頼関係、コミュニケーションが薄れていた」

握手を交わす田嶋幸三会長(左)とハリルホジッチ監督(右)photo/Getty Images

ロシアW杯で勝つ可能性を1パーセントでも上げるために……

4月9日、東京都内の日本サッカー協会(JFA)で田嶋幸三会長が記者会見を行い、日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督を解任することを発表した。同監督は2015年3月27日のチュニジア戦から指揮を執り、ロシアW杯のアジア予選を勝ち抜いて出場権を獲得していた。日本代表での通算成績は21勝9分け8敗。

「4月7日付けでヴァイッド・ハリルホジッチ監督との契約を解除しました。真面目で情熱があり、多くの時間をサッカーに割いていて、ときにピッチで選手に自分の考えをぶつけていました。日本サッカーに足りないデュエルを植え付けてくれたと思っています。それを踏まえたうえで、ロシアW杯アジア予選を突破したあとの強化試合、その他さまざまな材料から判断して今回の決断になりました」

冒頭にこう語った田嶋幸三会長は、続けて解任理由を「選手との信頼関係、コミュニケーションが薄れている。ロシアW杯で勝つ可能性を1パーセントでも上げるためにもこのタイミングしかなかった」とコメント。監督人事はここにきて話し合われたのではなく、アジア予選の最中から常にあらゆる事態を想定して議論されてきたことで、これまでは全力でサポートしてきたが、「3月のマリ戦、ウクライナ戦を終えて、監督を信頼していた選手の気持ちが逆転してしまった」と語った。
「さまざまな意見があり、われわれは状況を把握していた。監督を信頼する声ももちろん聞かれていたが、マリ戦、ウクライナ戦を終えて信頼していた選手の気持ちが逆転してしまった。以前から状況を打開するべく新たな方法を議論し、努力してきたが、そこを埋められなかった」

photo/Getty Images

ヴァイッド・ハリルホジッチ氏には、7日(土)にパリのホテルで田嶋幸三会長から直接解任が伝えられたという。そのときの反応は、「びっくりしていた。動揺し、怒りもあったと思う。どうしてこの時期に? と聞かれたのも事実です」というものだった。実際、ロシアW杯まで2か月と迫ったところでの解任は、タイミングとしてどうなのかという疑問が残る。これに関しては、「この時期だからこそ決断した」と強調した。

「ほんの数パーセントでもW杯で勝つための可能性を上げるためにも、2か月前というこの時期に選択しなければならなかった。チームがドラスティックに変わるわけではないが、むざむざ見ているわけにはいかなかった。もちろん、こうなった責任はあるが、スタッフや選手はみんな努力してきた。しかし、バラスンが崩れてしまったのが現状で、ここにきて状況が変わったということです」

気になる後任はJFA技術委員長を務めていた西野朗氏が務めることが発表された。西野朗氏は1996年アトランタ五輪にU-23代表を率いて出場し、初戦でブラジルを下すジャイアントキリングを達成している。Jリーグでは柏レイソル、ガンバ大阪の監督を歴任し、Jリーグ1回、Jリーグカップ2回、天皇杯2回の優勝経験がある。

ここにきて新体制となった日本代表は、5月30日にガーナ(会場/日産スタジアム)と対戦。その後欧州に出発し、6月8日にスイス(会場/ルガノ)、12日にパラグアイ(会場/インスブルック)と対戦し、ロシアW杯へ挑む。

文/飯塚 健司

サッカー専門誌記者を経て、2000年に独立。日本代表を追い続け、W杯は98年より5大会連続取材中。日本スポーツプレス協会、国際スポーツプレス協会会員。サンケイスポーツで「飯塚健司の儲カルチョ」を連載中。美術検定3級。


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