いよいよ得点まで取り始めれば手が付けられない
UEFAチャンピオンズリーグ・リーグフェーズ第3節で、アーセナルはアトレティコ・マドリードに4-0と圧勝した。ダメ押しの2ゴールを挙げたのがFWヴィクトル・ギェケレシュだ。ミケル・アルテタ監督は試合後「彼がチームのために尽くしてくれた多くのことを、私たちは高く評価していた。今日、彼の顔には最高の笑顔が浮かんでいた。チームメイトたちも見守っている」と『Amazon Prime』に語り、活躍と努力を称賛した。
ここまで7試合ゴールがなかったギェケレシュ。元イングランド代表FWアラン・シアラー氏は、この試合の前に『Match of the Day』にてアーリング・ハーランド、ハリー・ケイン、キリアン・ムバッペのレベルにはまったく及ばず、得点力を向上させなければいけないのは間違いないと語っていた。しかし、以下のようにも語っている。
「アーセナルに合っている彼の強みの1つは、実際に裏に抜け出すことだ。そうすることで、他の選手にスペースが生まれる」
「逆方向に走っていると、相手はどんどん下がっていき、他の選手がプレイできるスペースが生まれる。そういう意味では、彼はアーセナルを成長させたと思う」
シアラー氏の言葉と裏腹にギェケレシュは得点することに成功したが、指摘は的を射ているといえるかもしれない。『Opta』の統計によると、ギェケレシュはボールのない状態で54回ペナルティエリアに走り込んでおり、他のプレミアリーグのどの選手よりも多いという。
ハイプレスの回数がプレミアリーグでもっとも多いことも話題となっていたが、こちらも現在199回と未だトップ。そして相手ペナルティエリア内でのプレス回数も90回でトップだ。大柄な体躯にもかかわらず、止まらずに走り続けることができるのはギェケレシュのストロングポイントであることは間違いない。
シアラーの語るとおりギェケレシュが裏に抜けようとすることで相手のラインが押し下がり、マークも分散する。それがアーセナルの2列目の選手たちにもたらす恩恵は大きいと考えられる。アルテタの言う「彼がチームのために尽くしてくれた多くのこと」とは、ボール保持でも不保持でもギェケレシュが走り続けることで生まれるさまざまなメリットのことだろう。
さらに自ら得点まで取り始めたとなれば、アーセナルを止めることは難しくなる。ギェケレシュのこのハイパフォーマンスがどこまで続くか。アーセナル待望のラストピースとされたギェケレシュだが、その存在は思った以上に重要だったのかもしれない。
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