[名良橋晃]A代表&U-24代表で激しさを増す生存競争 W鈴木にもチャンスがある

名良橋晃のサッカー定点観測 #84 A代表×U-24を興味深く観戦 オーバーエイジはやはり必要

名良橋晃のサッカー定点観測 #84 A代表×U-24を興味深く観戦 オーバーエイジはやはり必要

オーバーエイジの遠藤はA代表との対戦に交代出場し、違いをみせた photo/Getty Images

 6月3日にA代表×U-24代表の対戦が行われました。A代表はやりにくいだろうなと思って興味深くみていましたが、各選手さすがの貫録をみせました。プレイ強度でA代表が上回っていて、この部分に関してはみているわれわれ以上に、U-24の選手たちが感じたはずです。違いをみせつけられた試合でした。

 私も経験があるのですが、チームのスタイルを考えるなか、自分の力を発揮するのはたしかに難しいです。それでも、もっと強引なプレイをみせてほしかったです。U-24の選手はもっと「個」を出してよかったと思います。自国開催の五輪でプレイできるのは、おそらく一生に一度のこと。このチャンスを逃してほしくないです。なにがなんでもという気持ちで、自分の手で掴み取りにいってほしいです。森保一監督も試合後に語っていましたが、A代表と戦ったU-24は少し物足りなかったです。

 東京五輪の開幕まであと1か月で、U-24はチームの底上げ、選手選考、組み合わせなど確認したいことが多く、オーバーエイジの3人を先発起用しなかったのは、各選手にまだまだ競争があることの表れでした。橋岡大樹がCB、前田大然がMFでプレイするなど、ポリバレントな能力の確認がそれぞれ行われています。

 後半途中からオーバーエイジのひとりである遠藤航が投入されて勢いが生まれ、流れを掴んでいる時間帯がありました。個人的には、テストされている選手たちにオーバーエイジの3名を起用しなくても戦えるというところをみせてほしかったです。森保一監督も期待していたと思いますが、U-24は全体的に停滞していたと思います。

 このA代表戦の結果を受けて戦った続くガーナ戦は、序盤からプレイ強度が高く、相手のコンディション不良があったとはいえ、しっかりと6点を奪って快勝しました。吉田麻也、冨安健洋のCBコンビはA代表でもファーストチョイスの2人で、右SBに酒井宏樹、ボランチに遠藤航もいることで後方がとにかく安定していました。そうなると、サイドや前線もプレイしやすく、チーム全体に躍動感がありました。それにしても、冨安健洋がオーバーエイジではないのが不思議な感じがしてきます。それほど、安定感、存在感ともにありました。もはや、替えがきかない選手です。

 そして、東京五輪に臨む18名を考えると、最後まで悩むことになりそうです。2列目の左サイドにしても、三笘薫がまだ本調子ではなく、馬勇紀、遠藤渓太がいて、トップでの起用も可能な前田大然もこのポジションで入ってくると、競争がより激しくなってきます。このポジションも含めて、メンバー選考はかなり難しいです。

闘病のすえに亡くなられた、同い年の柳想鉄さんへの思い

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森保監督は“競争”をベースに血の入れ替えを行ってきた photo/Getty Images

 前線を考えると、私はボールを収められてなおかつフィニッシャーになれるかどうかが大事だと思うので、上田綺世しかいないのかなと感じています。スピードがある。裏に抜けられる。このような特徴を持つ選手も必要ですが、A代表の大迫勇也のようになんでもできて点も取れるタイプを起用するならば、上田綺世なのかなと思います。

 もちろん、田川亨介、林大地も最後の最後まで選考に入ってきます。とくに、“ビースト”の異名を持つ林大地はベンチにいても目がギラギラしていて、「オレを出せ」という強い気持ちが伝わってきます。私が大好きな選手のひとりで、どこのポジションでも器用にプレイするポリバレントさもあります。先ほども名前を挙げた前田大然とともに、複数のポジションで候補になってくる選手です。

 こうした競争があるなか、2列目の久保建英、堂安律のコンビはこのチームのストロングポイントのひとつになります。お互いにイメージが合うのか、とてもやりやすそうです。ここに三好康児が加わってもよい連携がみられるので、あとは本当にどう組み合わせるかだと思います。

 冨安健洋と同じく、久保建英、堂安律もすでにA代表で経験を重ねています。板倉滉もそうですね。東京五輪後にはこうした選手たちがA代表で活躍する姿がきっとみられるでしょう。また、たとえ五輪出場を逃しても、それでサッカー人生が終わりではないことも強調しておきたいです。悔しい思いをモチベーションに変えて、A代表でのW杯出場を目指してほしいです。

 森保一監督は就任以来、ラージグループを作って2つのカテゴリーを強化してきました。そのなかには、間違いなくW鈴木(鈴木武蔵、鈴木優磨)も入っています。また、年齢に関係なく多くの選手をピッチに送り出し、競争させてきました。積極的に血の入れ替えを行ってきた成果として、日増しに競争が激しくなっているなと感じています。9月からスタートする予定のW杯最終予選を考えると、今回A代表、U-24のどちらにも招集されなかった選手にも十分にチャンスがあります。裏を返すと、チャンスを得たときに結果を出さないと競争を勝ち抜いていけないということです。

 最後に、同い年である柳想鉄(ユ・サンチョル)さんが亡くなられました。同時期に代表やJリーグでプレイした戦友で、すい臓がんによる闘病生活のすえに亡くなられたのは私のなかですごくショックです。柳想鉄さんがいた韓国代表との戦い、横浜FMや柏との優勝争いが蘇ってきます。心からご冥福をお祈りいたします。

構成/飯塚 健司

※電子マガジンtheWORLD258号、6月15日配信の記事より転載

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