[粕谷秀樹]なんてゲームなんだ、最高だぜとクロップ興奮 リヴァプールの開幕戦は疾風怒濤の撃ち合いになった

粕谷秀樹のメッタ斬り 043

粕谷秀樹のメッタ斬り 043

リヴァプールを率いるクロップ監督(左)とリーズを率いるビエルサ監督(右)photo/Getty Images

リヴァプールに3回も追いつく

1-0、1-1、2-1、2-2、3-2、3-3、4-3! リヴァプールは開幕戦から疾風怒濤の撃ち合いだ。無観客を言い訳にしない超白熱の攻防を見せてくれた。勝ったリヴァプールはもちろん、一歩も譲らなかったリーズにも感謝しないとね。

「What a game.I loved that」(なんてゲームなんだ。最高だぜ)

リヴァプールのユルゲン・クロップ監督が興奮していたし、お堅い『BBC』(英国放送協会)も、「プレミアリーグ史上最高の開幕戦」と絶賛するほどだ。
さて、リーズのマルセロ・ビエルサ監督は、「ちょっとしたミスも、このレベルではすべて失点につながる」と唇を噛んだものの、ディフェンディング・チャンピオンとのアウェイゲームで3回も追いついた。自信を持っていいんじゃないかな。パス総数はリヴァプールを37本も上まわる460本。1対1の勝率は54%。執拗なサイド攻略はなかなか迫力があった。

白星は手にしたものの守備に精彩を欠き、リヴァプール守備陣はリーズに3つのゴールを許した photo/Getty Images

4失点の内訳はPKとセットプレイが二発ずつというデータを踏まえ、次節にビエルサ監督がなにを企ててくるか。楽しみだね。

一方、リヴァプールはアンドリュー・ロバートソンを除くDF3人が、集中力を欠くケースも少なくなかった。とくにジョー・ゴメスは、ラインの背後をつく選手を見失ってばかりいたよ。

スピード、スキル、状況判断など、近代フットボールのCBに求められる能力を持っているゴメスだからこそ、評価は手厳しくなっちゃうんだ。わずか1試合で判断するつもりはないけれど、リーズ戦のパフォーマンスにはガッカリしたな。

なお、28年におよぶプレミアリーグの歴史のなかで、開幕戦で3失点したクラブが優勝した例は、95/96シーズンのマンチェスター・ユナイテッド(アストン・ヴィラに1-3の敗戦)だけだ。

開幕戦でゴールを決めるなど結果を残し、アルテタ監督(左)の期待に応えたマガリャンイス(右) photo/Getty Images

モヤモヤ解消のクリーンシート

スタッフ55人の解雇とか、強化部門の責任者だったラウール・サンジェイの退団とか、開幕前のアーセナルは嫌なニュースが相次いだ。同じロンドンを本拠とするチェルシーが大型補強に成功したというのに……ねぇ。

とはいえ、開幕戦は3-0の快勝だ。相手がフラムだから? いやいや、昨シーズンはシェフィールドやブライトンに負け、プレミアリーグから降格したボーンマス、ワトフォード、ノリッジにもポイントをロスしている。その結果が8
位だったわけでしょ。

ミケル・アルテタ監督も選手も不安を抱えていたわけで、フラムに負けたり引き分けたりしていると、ネガティブな感情が一気に増幅しても不思議じゃなかったんだよね。しかし、そのモヤモヤを解消するクリーンシートであり、カブリエウ・マガリャンイスやキーラン・ティアニーといった、これからのアーセナルを支えるスター候補性の活躍も好材料じゃん。

次節のウェストハム戦はともかく、その後はリヴァプール、シェフィールド、マンチェスター・シティ、レスター、ユナイテッドと、なかなか素敵なスケジュールだ。とはいえ、開幕戦の内容を持続できれば、ガツンと一発なにかかましてくれそうな気もする。期待しましょ。

文/粕谷秀樹

スポーツジャーナリスト。特にプレミアリーグ関連情報には精通している。試合中継やテレビ番組での解説者としてもお馴染みで、独特の視点で繰り出される選手、チームへの評価と切れ味鋭い意見は特筆ものである。

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