[元代表・名良橋晃が斬る]今、気になる指揮官はこの人!

マチンとキケ・セティエンは両サイドを起点にしている

マチンとキケ・セティエンは両サイドを起点にしている

ジローナからセビージャに移っても、マチン監督の指向するスタイルに変化はない photo/gettyimages

 いま気になっている監督は? そう聞かれて真っ先に頭に浮かぶのが、セビージャのパブロ・マチン監督です。ジローナを指揮して2部優勝→昇格1年目に1部10位という好成績を残し、今シーズンからセビージャの監督に就任しました。

 指向するのは攻守においてアグレッシブなサッカーで、ホームでもアウェイでも主導権を握って戦おうとしています。ジローナでもそうでしたが、すべての選手がハードワークすることを求められていて、とくに両サイドのワイドなポジションでプレイする選手、今シーズンならおもにヘスス・ナバスやギジェルメ・アラーナが大胆に仕掛けてくるサッカーはとても攻撃的です。

 懸念されるのはシーズン終盤までこのスタイルを維持できるかで、ジローナは運動量が落ちることで徐々に黒星が多くなっていきました。しかし、セビージャにはより良い選手が揃っています。パブロ・マチン監督に率いられたチームが今シーズンの終了をどういったカタチで迎えるのか、大いに注目しています。

 ベティスのキケ・セティエン監督も攻守にアグレッシブで、人とボールがよく動くスタイルをチームに植え付けています。最終ラインからパスをつないでビルドアップするなか、両サイドが重要な役割を担っていて、ワイドなポジションでプレイするアントニオ・バラガン、ジュニオル、フランシス・ゲレーロ、クリスティアン・テージョなどが高い位置を取ることで攻撃の起点になっています。

 この2人の監督に共通するのが、最終ラインが3バックで中盤の両サイドが高い位置を取ることにあり、同ポジションの選手がどれだけ大胆にアップダウンできるかがキモになっています。また、パブロ・マチン監督、キケ・セティエン監督ともに強い信念があり、戦術にブレがありません。こうした一貫性が成績にもつながっています。

 ひとつ捕捉しておくと、ベティスでプレイする乾貴士の出場機会が減っています。昨シーズンまで所属したエイバルとはシステムが違い、トップ下のシャドーでプレイすることを求められており、同ポジションで自分の力をまだ発揮できていません。ただ、もともと能力の高い選手なので、シャドーでもしっかりと力を発揮してくれる日が必ずくると思っています。

 レアル・マドリードはサンチャゴ・ソラーリ暫定監督が結果を出しました。ジネディーヌ・ジダン元監督と同じく、“レジェンド”である同氏はクラブ関係者、選手はもちろん、サポーターからも信頼があります。暫定監督で戦える期間は2週間でしたが、レアル・マドリードは正式に監督とする決断をしました。個人的には、サンチャゴ・ソラーリ監督で今後も戦うべきだと思っていました。

魅力的な曺貴裁監督 将来は日本代表監督で見たい

魅力的な曺貴裁監督 将来は日本代表監督で見たい

湘南にルヴァン杯をもたらした曺貴裁監督は、今後の身の振り方が注目される photo/gettyimages

 アタランタのジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督はマンマークが大好きで、前線から最終ラインまで局地で1対1 が見られます。人に基準を置くサッカーであり、見ているとヒヤヒヤします。相手のビルドアップを嵌めてボールを奪い、守備から攻撃へ素早く切り替えてカウンターを仕掛けるスタイルですが、マンマークで対応しているためひとつ剥がされるとズレが生じます。

 かつて指揮していたジェノア、短い期間でしたがインテルでも同じスタイルを採用しており、とにかく考えがブレない監督です。しっかりと準備しているものの、どこかでひとり剥がされるとスペースができてしまう一面があって結果が出ないこともありますが、一方では間違いなく見応えがあります。

 メリット、デメリットがあるスタイルですが、ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督は変わらずに貫いています。インテルのようなビッグクラブで有名選手たちに徹底させるよりも、アタランタのようなプロビンチャのほうがやりやすいのかもしれません。

 国内に目を移せば、J3でFC琉球の金鍾成監督が就任から3年目で優勝を決め、J2昇格を果たしました。攻撃的なサッカーを着々と浸透させ、今シーズンは他チームを圧倒した1年でした。いまのスタイルをJ2でどれだけ発揮できるのか、私はすでに来シーズンのFC琉球を楽しみにしています。

 ただ、主力選手には他クラブからオファーがあるでしょう。どうしても、選手に入れ替えはあると思います。そうしたなか、スタイルを変えずにどこまで攻撃的なサッカーを継続できるのか─。金鍾成監督にはブレないで自分の信念を貫いてほしいです。

 信念がブレないといえば、やはり湘南ベルマーレの曺貴裁監督の名前を挙げないわけにはいきません。攻守にアグレッシブで結果にもこだわる“湘南スタイル”を確立し、ルヴァン杯を獲得しました。結果にこだわりながらも選手の自主性を重んじて接していて、個々の判断を大切にしています。信念を曲げずに貫いている監督のひとりで、湘南を率いてすでに7年になります。クラブはもちろん手放さないでしょう。しかし、いつかは日本代表を指揮する姿を見て
みたいです。

 ここからは個人的な考えですが、監督としてステップアップするためにも、そろそろ他チームでという気持ちがないわけでもありません。湘南のように若手が多いチームも良いですが、我が強い選手が多いチームを率いたときにどうするかも興味あるところです。たとえば、過去にコーチとして在籍していたC大阪など……。

 また、とくにJ1のクラブにこだわらないとすれば、J2のジェフ千葉も面白いかもしれません。伸びしろが多い若手がいるし経験豊富な選手もいますが、その割には相応しい順位にいるとは思えません。曺貴裁監督ならどんなチームに仕上げるのか、こちらも興味あるところです。まわりの人間が勝手にこのような憶測をするぐらい、曺貴裁監督に魅力があるということなのだと思います。

theWORLD227号 2018年11月15日配信の記事より転載

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