12月4日に行われた明治安田生命J1リーグの最終節で、ガンバ大阪に0-0で引き分けた湘南ベルマーレ。
17位の徳島ヴォルティスが最終節でサンフレッチェ広島に敗れたため、ベルマーレの16位、ならびにJ1リーグ残留が確定している。
お馴染みの[3-1-4-2]の布陣で最終節に臨んだベルマーレは、自陣後方からの丁寧なパスワークで、ゲームを掌握。
キックオフ直後から[5-3-2]の布陣で自陣に撤退したガンバに対し、山田直輝と茨田陽生の2インサイドハーフがサイドのレーンに立ち、攻撃を活性化。3セントラルMFでは埋めにくいサイドのスペースを、この2人が徹底的に使ったことで、ベルマーレは幾度となく相手ゴール前にボールを運んだ。
前半の途中にガンバが[4-4-2]に布陣を変えると、4バックでは埋めにくいセンターバックとサイドバックの間、及びハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)を、タリクと大橋祐紀の2トップや前述の2インサイドハーフが強襲。
惜しくも相手GK東口順昭に阻まれた34分の大橋のヘディングシュートは、茨田がハーフスペースへ走り込み、クロスを上げたことで生まれたものだった。
- この1年でベルマーレの選手たちが相手の出方や戦況に応じて、色々な戦い方をできるようになっている印象を受けます。以前から得意としている縦に速い攻めだけでなく、後ろから丁寧にパスを繋いで相手を崩すサッカーもできるようになったことが、J1残留に繋がったと思います。この点について、どう感じていらっしゃいますか。
「それは本当におっしゃる通りで、自分たちの新たなところ(伸び代)を探しながら、こちらの要求にも応えてもらいながら、選手は良い練習をしてくれました。今日出場した選手だけでなく、全ての選手が常に良い練習をしていたからこそだと思います。相手を見れるようになってきたのも、少しの成長だと思いますし、もっとそういうところを追求して、今日みたいな試合で結果に繋げられるようなチームにしていきたいと思います。それが出来る可能性というのを、選手たちに感じています」
試合後の会見で、自軍の選手の成長について手応えを口にしたのが、ベルマーレの山口智監督。この日の同クラブは、ガンバの布陣変更や守備隊形の弱点を踏まえたうえで、試合全体を通じて効果的な攻めを繰り出せていた。
ベルマーレのJ1残留の最大の要因は、チョウ・キジェ元監督が植え付けた堅守速攻スタイルと、浮嶋敏前監督が着手した自陣後方からのパスワークの融合に成功したことだろう。
山口監督の初陣となった第28節の大分トリニータ戦でも、自陣後方からのロングパスを起点とする速攻と、ショートパス主体の遅攻を巧みに使い分けており、この相手の出方に応じた戦い方の選択は、試合を重ねるごとに上達していた。
2012年よりベルマーレを率いていたチョウ監督が、2019年シーズン中に退任。浮嶋氏と山口氏が指揮を執った約2年半で、2度のJ2リーグ降格危機を乗り越えた同クラブが、来季に向けて確かな礎を築いている。