“最悪の一手”という意見もあるが……
現地時間4日、2021-22シーズンから新たにジョゼ・モウリーニョがチームの指揮を執ると発表したASローマ。近年成績が伸び悩んでいるイタリアの名門に、ようやく世界的知名度の高い名将がやってきた。2度のチャンピオンズリーグ優勝を筆頭に、その監督キャリアで数々のタイトルを獲得している彼がどんなチームを構築するのか。今から楽しみにしている人も多いだろう。
しかし、一抹の不安もよぎる。同監督が最後にタイトルを獲得したのはマンチェスター・ユナイテッドを指揮していた2016-17シーズン。そこからはしばらくの時間が経過しており、直近で指揮した3クラブ(チェルシー、マンU、トッテナム)ではすべてシーズン途中で解任の憂き目に遭っている。一度は調子を取り戻すが、その勢いが長く続かない。今ではそんな印象も強い指揮官となってしまったか。選手との衝突も多々報じられる人物だけに、良薬にも毒にもなる可能性を孕んでいると言っていいだろう。
「現時点におけるローマにはビッグネームが必要だった。だが、この契約はもう終わった選手にサインするようなものだ。モウリーニョの目的はお金だろう。昔は良いキャラクターを生かすことができていたけどね。ローマの選択は最悪だと思うよ。彼のスタイルはアンチ・フットボール。7年前まではペップ・グアルディオラよりも優れていたと思うが、チームを再構築するためには最も悪い手だと思う」(伊『Sky Sport』より)
かつてACミランやユヴェントスなどでプレイしたパオロ・ディ・カーニオ氏も、ローマのモウリーニョ招聘に関してはこのように厳しい意見をぶつけている。かなり強い言葉での批判だが、前述した理由などが絡んでいるだけに同氏がこのように主張する気持ちは理解できる。
とはいえ、その一方でやはり期待感もあるのは間違いない。直近3クラブで最終的に監督の任を解かれていることは事実だが、モウリーニョはどのクラブでも一定の成果を見せている。かねてより余計な失点が多い印象のあるローマ。守備の整備は急務の課題となっているだけに、そういった観点からも“スペシャルワン”の手腕に期待できる部分は多い。
モンチ元SDが主力を次々と放出したことで、近年はどこか閉塞感のあったジャッロロッシ。しかし、モウリーニョという“劇薬”はそんな悩める名門を大復活の未来へと導くのか。名将の新たな挑戦が、再びイタリアで始まろうとしている。