[西岡明彦]古豪エヴァートン危うし! 新オーナーで立て直しはうまくいく?

プレミア最強ガイド #106

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新加入選手のひとり、FWベト photo/Getty Images

 プレミアリーグが開幕して4試合、未だ勝利がなく18位に低迷しているエヴァートン。昨季は最終節で何とか残留を果たしたものの、財政的に困窮しているクラブ事情も影響し、積極的な戦力補強が出来なかったことが今季のスタートダッシュ失敗の要因となりました。そんな古豪クラブが新オーナーを迎え財政改善と戦力アップを目論んでいるようです。

 2016年にクラブを買収し、これまで7億5,000万ポンド(約1,380億円)以上の資金を投入してきた現オーナーで大株主のハルファド・モリシですが、投資が成果に繋がらない現状を憂慮し売却先を模索してきました。今夏、MLBやNBA、モータースポーツ業界などで実績を上げているイラン系米国人ジャーム・ナジャフィが率いる「MSPスポーツキャピタル」と商談を続けてきましたが交渉が決裂、新たに「777パートナーズ」が名乗りを上げることになりました。

 マイアミに本拠地を置く「777パートナーズ」は2015年に誕生した新興投資会社で、近年スタンダール・リエージュ(ベルギー)やジェノア(イタリア)の所有権を獲得したことで知られています。またバスコ・ダ・ガマの買収にはブラジルサッカー史上最高額となる7億レアル(約210億円)を出資したことで、その名前が知られることになりました。創業者のジョシュ・ワンダーとパートナーのスティーブン・パスコはスポーツ界に留まらず世界20カ国50社以上の事業に投資ビジネスを展開していて、オスカーにノミネートされた『アイリッシュマン』を製作したハリウッド映画スタジオ「STXエンターテイメント」、格安航空会社「フレア航空(カナダ)」や「ボンザ航空(豪州)」など他業種にも参画して業績を上げています。
 英国メディアの報道によると、エヴァートンと「777パートナーズ」の交渉は比較的順調に進んでいると見られ、潤沢な資金力やフットボールクラブの経営実績、またブリティッシュ・バスケットボールリーグの株45%を700万ポンド(約13億円)で購入したこともプレミアリーグに評価されるのではないかと見られています。

 今夏、ナイジェリア代表FWアレックス・イウォビがフラムに移籍するなど19選手がクラブを離れた一方、ポルトガル人FWベト(ウディネーゼ)やアストン・ヴィラを契約満了となった38歳のアシュリー・ヤングなど加入選手は5人に留まりました。戦力ダウンが否めない現状を打破するためには1月の移籍市場で戦力アップを図ることが望まれます。1954年からトップリーグ在籍を続けている古豪クラブにとって、最大のピンチと言わざるを得ない現状。この苦境をどう乗り越えるのか、今後の動向に注目です。

文/西岡 明彦

電子マガジンtheWORLD(ザ・ワールド)285号、9月15日配信の記事より転載

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