4年前にドイツを撃破した頃は強かった ベラ、ドス・サントス、チチャリートら抜けたメキシコはピンチだ

ドイツを撃破するサプライズを演じたメキシコ代表 photo/Getty Images

メンバーの多くはベテランになった

4年前のワールドカップ・ロシア大会にて、メキシコ代表がグループステージ初戦で王者ドイツ代表を撃破した一戦を覚えているだろうか。

ドイツの状態が良くなかったとはいえ、メキシコの戦いは見事だった。相手に60%以上のポゼッションを許しながらも、粘り強い守備と速攻で王者を1-0のスコアで撃破。結局ドイツはグループステージ敗退となり、前回大会最大のサプライズとなった。

あれから4年。メキシコ代表は今年のカタール大会の切符も無事掴んだが、北中米カリブ海予選ではカナダとアメリカの勢いに押される結果となってしまった。メキシコには8大会連続でのグループステージ突破が期待されているものの、その戦力には疑問があるのだ。
まずメキシコ代表にとって大きな打撃だったのは、前回大会から大きく顔ぶれが変わっている点だ。

ドイツ戦に出場していたメンバーでは、チチャリートことFWハビエル・エルナンデス、FWカルロス・ベラ、MFミゲル・ラジュン、最終ラインのカルロス・サルセド、ウーゴ・アジャラが現在は代表から離れている。

彼らは1980年代後半生まれの世代で、全員が30代半ばに入っている。アジャラと最終ラインを組んでいたDFエクトル・モレノも34歳を迎え、代表でも出番は減っている。

ベンチメンバーを見ると、現在所属クラブがないFWジオヴァニ・ドス・サントス、途中交代から流れを変えられる選手だったMFハビエル・アキーノ、マルコ・ファビアンも現在は代表を離れており、FWオリベ・ペラルタ、レジェンドDFラファエル・マルケスは現役を退いている。

今もFWラウール・ヒメネス、イルビング・ロサノ、ヘスス・コロナは代表の主力だが、全体的に世代交代がスムーズに進まなかった印象だ。

やはりメキシコ代表にとって1980年代後半から1990年生まれの世代は特別で、代表歴代最多得点記録保持者のチチャリート(52ゴール)、今も代表に入る36歳のMFアンドレス・グアルダード(レアル・ベティス)、31歳となったMFエクトル・エレーラ(アトレティコ・マドリード)のリーガ・エスパニョーラ組など、高い実力を持つ選手が多い。

アメリカ・MLSに活躍の場を移したベラも2019年にはリーグ戦で36ゴール、今年も開幕5試合で4ゴールを記録するなど、ロサンゼルスFCの10番として33歳の今も抜群のパフォーマンスを見せている。

おそらくはベラと合わせ、ロサンゼルス・ギャラクシーで活躍するチチャリートもまだまだ代表でプレイ可能だろう。今年のカタール大会でも大きな戦力となるはずで、2人が代表を離れているのは残念だ。

メキシコはカタール大会でサウジアラビア、ポーランド、アルゼンチンと同じグループCに入っており、そこまで厳しいグループではない。8大会続けてのグループ突破は現実的な目標と言えるが、それでも4年前からレベルアップしているかは微妙なところだ。おそらくはアルゼンチンが実力的にグループ1番手となるだろうが、FWロベルト・レヴァンドフスキ擁するポーランドも危険だ。

果たしてメキシコは今回もベスト16へと進めるのか。やや谷間の世代となっており、4年前に比べると期待感は少々薄いと言わざるを得ないだろう。

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