[MIXゾーン]鹿島FW土居に“神”が宿った 偶然にしてはできすぎているハット達成のシナリオ

横浜FM戦でハットトリックを達成した土居聖真 photo/スクリーンショット

ちょうど28年前にジーコ氏も

鹿島アントラーズは15日、明治安田生命J1リーグ第14節で横浜F・マリノスをホームへ迎え入れた。

直近の試合で負けがいない好調なチーム同士が相見えることとなったこの一戦。鹿島は25分に先制点を許す苦しい展開となったが、FW土居聖真がチームの窮地を救った。土居は40分に左CKのこぼれ球を押し込み、試合を振り出しに戻すと、後半開始早々の46分にはMF白崎凌兵のスルーパスから裏へ抜け出し、冷静にGKとの1対1を制して勝ち越しゴールをゲット。さらに、53分にもPKを沈めてこの日3点目のゴールを記録し、ハットトリックを達成したのだ。

その後、2点を追加した鹿島は、終盤に退場者を出したり、後半アディショナルタイムに失点したり、やや課題が見える場面もあった。もちろん、連戦による疲労の影響もあるだろう。ただ、スコアを5-3とし、しっかりとこの日の最大の目標である横浜FM撃破は成し遂げてみせた。この結果、4連勝を飾った鹿島は6位まで順位を押し上げている。
66分までのプレイではあったが、チームが最も得点を欲している時間帯にきっちり目に見える結果を残した土居。試合後、この日のゴールを次のように振り返っている。

「(1点目は)CKのこぼれ球だったんですけど、白崎選手がよく折り返してくれて、その折り返しを三竿選手が決めたかなと思ったんですけどね。自分よりマイナス気味に、後ろ側にボールがこぼれたのでちょっと難しかったです。GKもDFもたくさんいましたし。ただ、ボールというよりコースが見えて、そこに力というよりはコースを目がけて上に蹴れたのがイメージどおりで良かったかなと思います。2点目は、自分が競ったところのこぼれ球を白崎選手が良い形で前を向いて、本当にGKが出るか出ないか迷う絶妙なパスをくれたので、時間も相当あって、自分のタイミングでシュートを打てましたし、身体を開いてファーサイドに蹴るのをちょっと誘ってニアサイドに打てました。あれも落ち着いて打てたかなと思います」

「3点目も白崎選手から良いボールが自分に入りました。僕に入る前に三竿選手が良いタイミングで白崎選手を追い越して、オーバーラップしてくれていたので、マリノスのCBの選手が僕が出すフリをしたときにちょっと釣られたのが見えました。それでうまく前を向いたときに松村(優太)選手がいいタイミングで動き出してくれてたので、PKというよりかは『決めてくれ』というパスを出したんですけど、彼もうまくPKを取ってくれました。前回、横浜FC戦でPKを蹴りましたけど、相手に防がれていたので、しっかり練習の成果を出せました。(クォン)スンテさんから相手のGKの情報なんかも入っていました。ただ、PKになる前に『今日は点を決めます』と言っていたので、どっちも取れて良かったです」

また、今回のハットトリックの陰には、あの“神様”の力があったのかもしれない。この日はJリーグの日で、28年前の開幕節ではクラブの英雄であり、サッカーの神様とも呼ばれるジーコ氏(現在は鹿島のテクニカルディレクター)がハットトリックを達成していた。試合前に土居は、そんなジーコ氏から得点を取れると背中を押されていたという。そして、その予言が見事的中。ジーコ氏の魂が宿ったかのように、土井は28年前の同氏と同じくハットトリックを達成してチームを5得点の大勝利へ導いて見せたのだ。

「実は今日、ジーコさんに試合前に『今日は聖真が点取るよ』と言われていて……笑。これは本当の話で、普段は点に関してはジーコさんからはほとんど言われないんですけどね。今日は本当にたまたま「今日は聖真が取るよ」と試合前に言ってもらっていました。終わったあとにジーコさんと抱き合って喜びました。(ジーコさんは)『僕は1点と思って言ったんだけど、3点取るとは思ってなかった』というのを言われてすごくうれしかったですし、ジーコさんも28年前にここでそういう歴史を作ってくれたのはありがたいことですし、今日は“和製ジーコ”ということで喜びたいと思います。」

偶然にしてはできすぎている土居のハットトリックのシナリオ。やはりこれが長きに渡って様々な伝統や思い受け継がれてきたがアントラーズの持つ底知れないパワーだ。監督交代はあったものの、どんどん調子も上げており、今後もより一層目が離せそうにない。

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