EURO2020もベスト4の戦いがスタートするが、この中でダークホースと呼べるのはデンマーク代表だ。デンマークが優勝するようなことがあれば、大会史に残るサプライズとして取り上げられることだろう。
しかし、改めてEURO2004を振り返っておきたい。当時の大会を制したのはギリシャ代表だが、ギリシャの優勝はサプライズなんて言葉で表せるものではなかった。
なぜなら、当時のギリシャはワールドカップを含めメジャートーナメントで1勝もしたことがないチームだったからだ。
ワールドカップには1994年のアメリカ大会で初出場を果たしたが、結果は3連敗。EUROの方も1980年に本選へ進んだが、1分2敗で終えている。EURO2004まで実績のないチームと言っていい存在だった。
そのチームがグループステージ初戦でホスト国のポルトガル代表を2-1で撃破し、続くスペイン代表戦も1-1のドロー。グループステージで優勝候補と呼べる2チームと対決しているところも当時のギリシャの凄いところだ。
大会で英雄となったのは、FWアンゲロス・ハリステアス。スペイン戦で貴重なゴールを決めると、準々決勝ではフランス代表を沈める得点を記録。そして決勝のポルトガル戦でもハリステアスがネットを揺らしている。
ホスト国のポルトガル、前回王者フランスを撃破するなど、ギリシャの優勝劇は特別だった。文句のつけようがないジャイアントキリングだ。
英『FourFourTwo』によると、ハリステアスは当時グループステージ第2戦でスペインと引き分けた時の感覚についてこう語っている。
「カシージャス、ラウール、プジョル。彼らは優勝候補の一角であり、プジョルは対戦してきた中で最も難しいDFの1人だった。スペイン相手に得点を奪えば、自信は深まる。今なら何だって可能だと思ったよ」
「ギリシャはサッカーにおいては小国だが、準々決勝で前回王者フランスを撃破した時には自分たちの時間がきたと信じ始めた。なぜ僕たちが決勝へ行けないのか? 優勝を信じ始めたのさ」
EURO2004までメジャートーナメント未勝利だったチームがいきなり優勝など、ほとんどのサッカーファンは想像していなかったはずだ。どんな大会でもダークホースと呼ばれるチームが出てくるものだが、当時のギリシャを超える衝撃をもたらすチームはそうそう出てこないだろう。