先日行われたU-20ワールドカップ決勝でU-20アルゼンチン代表を撃破し、頂点に立ったU-20モロッコ代表。モロッコといえばA代表が2022ワールドカップ・カタール大会でベスト4に入り、2024年のパリ五輪でも銅メダルを獲得するなど、近年凄まじい躍進を見せている国だ。
そのベースには優れた育成があり、仏『Foot Mercato』は2008年から地道に取り組んできた育成が花開いたと評価する。
育成組織では、2009年に設立されたムハンマド6世フットボールアカデミーの功績が大きい。A代表で活躍するFWユセフ・エン・ネシリ、DFナイエフ・アゲルド、MFアズディン・ウナヒはここの1期メンバーであり、今回のU-20ワールドカップ優勝メンバーにも決勝のアルゼンチン戦での2ゴールを含む大会5ゴールを記録したFWヤシン・ザビリ、MFホッセム・エッサダック、DFフアード・ザホアニら5選手を送り込んでいる。
そうした育成に加え、モロッコにルーツを持つ選手の代表招集にも力を入れてきた。世代別ではスペイン代表を選択していたレアル・マドリードMFブラヒム・ディアスは2024年からモロッコ代表を選択し、世代別フランス代表でプレイしてきたレヴァークーゼンMFエリーゼ・ベン・セギルも同年よりモロッコ代表を選択するなど、これも選手層が厚くなっている要因だ。
また、モロッコは主要大会の開催地としても貢献を果たしてきた。今年のアフリカ・ネイションズカップの舞台はモロッコであり、来年には女子アフリカ・ネイションズカップもモロッコで開催されるが、女子の方は2022年大会から3大会連続でのモロッコ開催である。女子は2022、2024ともに準優勝に輝いていて、強くなっているのは女子も同じだ。
育成年代の大会では2023年にU-23アフリカ・ネイションズカップをモロッコで開催し、モロッコは初優勝。今年は3月から4月にかけてU-17アフリカ・ネイションズカップもモロッコで開催し、こちらもモロッコが優勝と、全てが上手くいっている。
その集大成の1つとなるのが2030ワールドカップで、同大会はスペイン、ポルトガル、モロッコでの開催となる。2026ワールドカップでもモロッコは優勝を狙ってくるだろうが、本命は2030年大会の方か。その頃には今回のU-20ワールドカップ、今年のU-17アフリカ・ネイションズカップを制した世代もA代表へ入ってきているはずで、層はさらに厚くなっていると予想される。
ワールドカップ優勝も現実的な目標になってきたように思うが、モロッコはどこまで強くなるのか。育成から発展まで完璧に近い時間を過ごしている。