現代もマンチェスター・シティのアーリング・ハーランドやスポルティングCPのヴィクトル・ギェケレシュ、バルセロナのロベルト・レヴァンドフスキ、バイエルンのハリー・ケインなど、最前線に構える『9番』と呼べる選手はいる。
ただ、1980年代や90年代に比べるとオーソドックスなセンターフォワードは減少傾向にあると言えるか。そう語るのは、現役時代にイングランドと世界を代表する点取り屋の1人だったアラン・シアラー氏だ。シアラー氏も典型的なセンターフォワードだが、同氏のようなタイプは確かに減っているか。
『The Rest is Football』にて、同氏は現代のサッカー少年たちがあらゆる仕事をこなすウイングに憧れを抱いているのではないかと語っている。
「いわゆる9番と呼べるタイプの選手に何が起きたのか。今はあまりに少ないよ。サッカーの戦術が変わったからだろう。私がプレイしていた頃は、2トップが一般的だった。大柄な選手と小柄な選手がコンビを組むことが一般的で、どちらかがポジションを下げるなど、試合の中でローテーションしていたものだ。当時はストライカーとも呼んだが、誰もが9番タイプになりたがっていた。しかし、現在では多くのチームがウイングを2枚置いた3トップを採用している。そのウイングも、単なるウイングとは異なる。今はベストプレイヤーがサイドエリアにいる傾向がある」
「サラー、メッシ、9番になる前のC・ロナウドなどね。今の子供たちはドリブルで相手を抜くだけでなく、それに加えてゴールを多く決められる役割を望んでいるのかもしれない。昔の4-4-2でプレイしていた時代と違い、ウイングがただサイドに張り付いている時代ではなくなったこともある。今も素晴らしい9番タイプの選手が何人かいるけど、10〜20年前はもっとそういう選手がたくさんいたからね」
一昔前のサイドハーフはサイドからクロスボールを上げるのが一般的だったが、現代は利き足と逆のサイドに入り、そこから中へカットインしてシュートを狙うのが一般的だ。メッシやアリエン・ロッベンなどに影響を受けた若い選手も多いだろう。
現在はハーランドのような大型ストライカーが活躍し始めているため、またセンターフォワードに憧れる子供が増える可能性はある。ただ、現状はシアラー氏の言葉通り純粋なセンターフォワードは減少傾向にあるか。