小野伸二の天才的輝きにオランダは酔いしれた トマソン、ファン・ペルシらと制したUEFA杯の記憶

当時UEFA杯を制したフェイエノールト photo/Getty Images

20年ぶりに見えてきた欧州の頂点

今季より創設されたヨーロッパ・カンファレンスリーグは世界的注目度こそ高くないかもしれないが、なかなかチャンピオンズリーグとヨーロッパリーグに絡めないクラブにとっては大きなチャンスだ。

今季ファイナルへ駒を進めたのはジョゼ・モウリーニョ率いるローマと、オランダの強豪フェイエイノールトだ。

フェイエノールトは2016-17シーズンにエールディヴィジを制覇しており、常にオランダ国内で上位争いに顔を出してきた名門である。
しかし、ここ最近はアヤックスに大きくリードされてきた。アヤックスがチャンピオンズリーグ決勝トーナメントでも結果を残したのに対し、ここ5年のフェイエノールトはチャンピオンズリーグでもヨーロッパリーグでもグループステージを突破できていない。

フェイエノールトが最後に欧州カップ戦を制したのは、2001-02シーズンのUEFA杯制覇まで遡る(現ヨーロッパリーグ)。そしてこの時チームに在籍していた選手こそ、元日本代表MF小野伸二だった。

小野は日本のサッカー少年に大きな夢を与えた海外組の1人であり、当時のフェイエノールトでも絶対的な主力だった。2001-02シーズンのUEFA杯・決勝ではドルトムントと対戦し、3-2で勝利。当時のドルトムントにはチェコ代表のMFトマシュ・ロシツキ、長身FWヤン・コレル、ドイツ代表GKイェンス・レーマン、当時ブンデスリーガ得点王に輝いていたブラジル人FWマルシオ・アモローゾらタレントが揃っていた。

一方のフェイエノールトには小野、相棒にはキャプテンマークを巻くポール・ボスフェルト、攻撃陣にはまだまだ若かったFWロビン・ファン・ペルシ、デンマークのレジェンドFWヨン・ダール・トマソン、オランダのピエール・ファン・ホーイドンクらが揃っており、チームは2010年のワールドカップ・南アフリカ大会でオランダ代表を準優勝へ導いたベルト・ファン・マルワイクが率いていた。

準々決勝では同じオランダのPSVをPK戦の末に撃破し、準決勝ではインテルを3-2で撃破。フェイエノールトはギリギリの戦いを潜り抜け、決勝のドルトムント戦も3-2のスコアで逃げ切った。今季のカンファレンスリーグでは、それ以来となる欧州カップ戦制覇を目指すことになる。

英『FourFourTwo』も当時のフェイエノールトを振り返っているが、フェイエノールト時代の小野は1つの完成形を迎えていたと言っていい。優勝したのは2001-02シーズンのことだが、続く2002-03シーズンはエールディヴィジで7得点を奪うなど大活躍。天才的に柔らかいタッチで魅了した小野のことをフェイエノールトのサポーターも覚えているはずだ。

そのフェイエノールトが20年ぶりに欧州カップ戦制覇の夢を見ることができ、同メディアはそれだけでもカンファレンスリーグ創設の意味はあったと主張する。このタイトルから特別なモチベーションを得るチームは今後も増えるはずで、サポーターも楽しんでいるはずだ。

決勝のローマは楽な相手ではないが、フェイエノールトは20年ぶりの国際タイトルに届くのか。

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