どんなハイプレスも無効化してしまうビルドアップ　スペイン代表は今、誰がいる？DF・GK編

2022年04月04日(月) 12時00分配信

ビルドアップを得意とするスペイン代表のアイメリック・ラポルト photo/Getty images

みな足元の技術が高い

2018年のワールドカップ・ロシア大会の後にルイス・エンリケが監督に就任したスペイン代表。EURO2020では4強入りという結果を残し、今年に冬に開催されるワールドカップ・カタール大会でも好成績を期待されている。こういった国際大会ではスペインの得意とする攻撃陣の働きも重要だが、それと同時に相手の攻撃を跳ね返す完成度の高い守備陣も必要になる。

フランス代表からスペイン代表に鞍替えしたアイメリック・ラポルト（27）は加入したラ・ロハに大きな影響をもたらした。いつまで経ってもフランス代表で起用されないことにラポルトがしびれを切らしたと言われるが、EURO2020の直前でスペインに代表を変更している。持ち味は正確なビルドアップであり、配球技術であれば世界のどのセンターバックよりも優れているだろう。プレミアリーグでは2162本と最もパスを成功させており、成功率も95%と極めて高い。その反面、守備では弱さを露呈することもあり、批判の的にされがちだが、セルヒオ・ラモスの代表復帰が難しい以上は彼がディフェンスリーダーとなってチームをまとめることになるだろう。

そのラポルトのパートナーになるのはビジャレアルのパウ・トーレス（25）、もしくはバルセロナのエリック・ガルシア（21）になる。

トーレスはビッグクラブからの噂が何度もあがる実力者で、今夏にはプレミアのトッテナムからオファーがあったと西『MARCA』が伝えている。足元の技術とスピードを生かした守備を両立させるCBであり、非常にバランスが良い。191cmの高さも魅力的なのだが、ラポルト、トーレス共に左利きであり、どちらかを右に置く必要があるのは少し難点か。

ガルシアはシティ時代にラポルトとはチームメイトであり、現在は古巣のバルセロナに戻っている。ビルドアップに定評のある選手で、視野が広い彼を最終ラインに置けば攻撃が活性化するのは間違いない。守備対応はシティ時代から批判されることが多かったが改善傾向にあり、先日のレアル・マドリードとのエル・クラシコでは組み立て以外にも読みを生かした守備で称賛されることも。大きく飛躍している真っ最中のCBである。

右サイドバックはスペイン代表の唯一の弱点ともいわれるポジションだが、チェルシーのセサル・アスピリクエタ（32）がいる。確かに攻撃時の性能は劣るかも知れないが、守備対応はピカイチであり、そう簡単に自由にはさせてもらえないだろう。チェルシーでは465試合に出場している猛者であり、同グループで対戦する日本代表のアタッカー陣、特に三笘薫あたりはこの百戦錬磨の守備者をどう崩すかが大事になってくる。

左サイドバックはより攻撃的な選択肢が多く、バルセロナのジョルディ・アルバ（33）が筆頭になるか。パスやクロス、動き出しとどれも一級品で彼のクロスに高さのあるアルバロ・モラタが合わせるシーンは容易に想像できる。バルセロナらしいペナルティエリアのポケットと呼ばれるポイントを突くのが上手く、左ウイングでの起用が予想されるダニ・オルモらとの連携に注目したい。

アルバと同等の実力者としてバレンシアのホセ・ガヤ（26）も左SBとして呼ばれている。バレンシアでのデビューが17歳と若いためかまだ26歳という年齢に驚かされる。アルバのような攻撃的なプレイヤーであり、自ら得点を狙うことができるシュート技術の高さは称賛されることが多い。バレンシアではすでにキャプテンであり、代表でも精神的支柱としての活躍が見込める。

GKはマンチェスター・ユナイテッドのダビド・デ・ヘア（31）が今回の代表招集で選外となり、話題となった。メンバーはアスレティック・ビルバオのウナイ・シモン（24）、ブライトンのロベルト・サンチェス（24）、ブレントフォードのダビド・ラジャ（26）だ。3選手共にスペイン国籍を持っているが、サンチェスとラジャがプレミアリーグの選手というのは少し珍しい。彼らに共通するのはビルドアップ能力も備えた現代的なGKということであり、デ・へアの落選はそういったトレンドを自身の技術として落とし込めなかったところにあるかもしれない。守護神であるシモンはそんなデ・ヘアのようなシュートストップを見せながら、ビルドアップでも貢献できる選手だ。EURO2020ではビルドアップでのミスから失点を献上してしまったシーンもあったが、それは新しいことに挑戦している証であり、成長を続け世界的なGKになることができる逸材と言っていいだろう。

スペインらしく攻撃的な選手が揃っている最終ライン。特にCBはビルドアップに秀でた選手ばかりであり、彼らの配球でどこまで攻撃が活性化するのか楽しみだ（データは『SofaScore』より）。