“熟練戦士”揃えたモウリーニョ・インテルは強かった まだ現チームが持っていない渋さ

CLのトロフィー掲げるインテルの選手たち photo/Getty Images

CLを制してから12年

今季もチャンピオンズリーグ決勝トーナメントがスタートしたが、イタリアからはインテルとユヴェントスの2チームが決勝トーナメントに進出している。イタリア勢にとっての悲願は、2009-10シーズン以来となるチャンピオンズリーグ制覇だ。

2009-10シーズンといえばジョゼ・モウリーニョ率いるインテルが3冠を達成したシーズンで、イタリア勢がチャンピオンズリーグを制したのはこれが最後となっている。2010年代に入ってからはユヴェントスが2度ファイナルに進んだものの、どちらも敗れてしまった。

英『FourFourTwo』は改めてモウリーニョ・インテルの成功を振り返っているが、やはり最大のハイライトは準決勝のバルセロナ戦2ndレグだろう。ホームでの1stレグを3-1で制していたインテルは、アウェイで迎えた2ndレグで徹底防御の構えを見せた。
これは前半28分にMFチアゴ・モッタが一発退場となってしまったことが影響しているのだが、この2ndレグはバルセロナが20本のシュートを打ったのに対してインテルは1本しか打っていない。パス本数もジョゼップ・グアルディオラ率いるバルセロナは716本ものショートパスを通したが、インテルの方は何と78本しか通していない。これほど偏ったスタッツになるチャンピオンズリーグ準決勝も珍しいだろう。

最終的にはバルセロナが1-0で勝利したものの、2戦合計スコアでインテルが決勝へ進出。ここを耐え抜いた当時のインテルは見事で、GKジュリオ・セーザル、DFルシオ、ワルテル・サムエル、クリスティアン・キヴ、ハビエル・サネッティ、MFエステバン・カンビアッソなど、当時のインテルにはモウリーニョの要求をこなせる熟練のプレイヤーが揃っていた。渋い実力派チームだったと言えよう。

このシーズンは補強も当たっていて、インテルは開幕前にFWズラタン・イブラヒモビッチをバルセロナへ手放している。その代わりにバルセロナからFWサミュエル・エトーを加え、ジェノアからFWディエゴ・ミリートとMFチアゴ・モッタ、レアル・マドリードからMFウェズレイ・スナイデル、バイエルンを離れたDFルシオ、さらに冬の市場ではFWゴラン・パンデフを獲得。彼らは1年目から3冠に貢献することになり、同メディアもクラブがこれまで経験したことのない大成功の補強だったと称える。

戦術的規律を守ることができ、メンタルが強く、守備に走ってファイトできる。モウリーニョ好みの選手が揃った当時のインテルはサッカーの時代に逆行したチームではあったかもしれないが、今のイタリア勢にはない強さがあった。

あれからもうすぐ12年。今のインテルもセリエAで強さを取り戻しているが、16日に行われた決勝トーナメント1回戦1stレグはホームでリヴァプールに0-2で敗れてしまった。相手が悪かったとはいえ、まだチャンピオンズリーグ制覇を狙うのは難しいか。

ユヴェントスの方はフィオレンティーナからFWドゥシャン・ヴラホビッチを加えるなど今冬に積極的な補強を見せたが、こちらも優勝候補には挙げられそうにない。今はイングランド勢が強さを維持しているが、イタリア勢が次に欧州の頂点に立つのはいつのことになるのか。今はまだモウリーニョ・インテルを懐かしむ時間が続いている。

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