水沼貴史です。先日、日本代表でも活躍するFW古橋亨梧(ヴィッセル神戸→セルティック)とFWオナイウ阿道(横浜F・マリノス→トゥールーズ)の海外挑戦が発表されましたが、今夏もさまざまな日本人選手が新たな挑戦を行うためにヨーロッパへ羽ばたきそうです。これは非常に良いことだと思います。日本人のレベルやチームでの貢献などがヨーロッパで認められている証拠です。もちろん、全ての選手が「成功している」とは言い難いところもありますが、才能や可能性を秘めた選手たちがどんどんヨーロッパへ進出することは素晴らしいことだと思います。そんな中で、私は東京オリンピックでの活躍も期待され、川崎から世界へ羽ばたこうとしている2選手に注目しています。
まずは、すでにデュッセルドルフへの期限付き移籍が発表されているMF田中碧です。たまたまではありますが、彼がデビューを果たした2018年の北海道コンサドーレ札幌戦の解説を担当していました。この試合で彼は、ゴールも決めています。そういうのを見ていたので気になっていた選手でしたし、勝手にですが巡り合わせを感じているので応援したくなる選手のひとりでした。移籍の発表時期がACLや東京オリンピックの直前と、突然のことではありましたが、これはブンデスリーガ2部が一足先に開幕(7月23日)するため、準備を進めるデュッセルドルフのチーム事情もあったのでしょう。
碧の海外挑戦に関してですが、1部でプレイするかなと思っていたので、そこに行けるレベルの選手だと思っていたので、「2部への移籍なのか……」という思いは正直ありました。ただ、最初の挑戦としてヨーロッパで飛躍を遂げるための足掛かりとするのであれば、おそらくデュッセルドルフは良い選択かもしれません。デュッセルドルフは昔から日本人が多い街なので、日本人選手にはやりやすい環境が整っていますからね。チームメイトに年齢が近く、日本語とドイツ語を話せるMFアペルカンプ真大がいることも、環境になれていく上ではアドバンテージになるかもしれません。
目指すべきは、やはりシュツットガルトで活躍する“遠藤航ルート”ではないでしょうか。ドイツでの見られ方として、もしかしたら遠藤と比較される可能性があります。同じポジションで、スタートも同じ2部ですしね。チームとともに1部へ上がってデュエルNo.1に輝く……。プレイスタイルは少し違うため、デュエルNo.1とはいかないでしょうが、それくらいの活躍を期待をされているかもしれません。ただ、覚悟を持って海外へ行っていると思いますし、常に上を目指している選手でもあります。碧も2部でしっかり実績を残して、自分でも「できる」というような自信を掴んで、1部へ挑戦して欲しいです。
彼が持っている「ボールを奪ってから前に出ていく力」というのは、ドイツでも通用すると思います。しかし、「ボールを奪う力」というのは、おそらく日本とドイツではレベルが違います。デュエルのところで遠藤並とはいかなくとも、6~7割でボールを奪えるようになれば安定して活躍できるはずです。あと、彼は「出ていく力」もそうですが、「戻る力」も素晴らしいです。攻守が切り替わった瞬間の動きが特長なので、そこはもっと研ぎ澄ましていって欲しいなと思っています。加えて、パンチ力と精度の高いキックを持っているので、点も取れるようになってくれば、より良いのではないでしょうか。
ドイツでの戦いの前に、現在開催中の東京オリンピックでの戦いもまだまだ控えています。自分の信じた道を進んでいくための、高みを目指していくための最初のステップとして、まずはオリンピックで力を思い切り出して欲しいです。オリンピックで良いパフォーマンスを披露して、その後のドイツでの戦いにつなげて欲しいですね。