エリクセンの意思を受け継ぐ“デンマークの希望” 躍進の陰に憧れの大先輩に対する強い想い

EURO2020でブレイクを果たしたダムスゴー photo/Getty Images

エリクセンは良いお手本

優勝候補とされた死の組の3カ国(フランス、ポルトガル、ドイツ)が揃ってベスト16で姿を消すなど、EUROは今回も様々な波乱が起きている。中でも不気味な存在となっているのが、約30年前に同大会を制した経験があるも、近年はなかなか結果を残せていなかったデンマークではないか。

チームの柱であるMFクリスティアン・エリクセンが突然意識を失ってピッチに倒れ込み、病院へ緊急搬送された影響もあっただろう。デンマーク代表は今大会のグループステージの初戦で、格下のフィンランドに0-1でまさかの敗戦。チーム内に大きな動揺が走った同代表は、そのまま第2戦のベルギー戦にも1-2で逆転負けを喫し、グループステージ突破が絶望的な状況に追い込まれてしまった。しかし、チームから離脱することになってしまったエリクセンの分まで奮起したデンマークのメンバーたちは、グループステージ最終戦でロシア相手に意地を見せて4-1の快勝。土壇場で決勝トーナメント進出を決め、その勢いそのままにベスト16でもウェールズを4-0で退け、見事ベスト8までコマを進めている。

そんなデンマーク代表で特に存在感を放っているのが、昨年11月にA代表デビューを飾り、チームの将来を担うと期待されるMFミッケル・ダムスゴーだ。フィンランド戦では出場機会がなかったものの、トップ下を務めていたエリクセンの離脱によってシステムが[4-2-3-1]から[3-4-3]に変更されたことで、チャンスを得た若き逸材である。ポジションはウイングだが、実質的にエリクセンの後を託された選手と言っていい。そして、ダムスゴーはそういった期待に応えるかのように躍動。ベルギー戦以降はスタメンに抜擢されると、ロシア戦では貴重な先制ゴールを、ウェールズ戦ではアシストを記録している。
ダムスゴーにとってエリクセンは良いお手本であり、幼い頃から憧れてきたサッカー選手のようだ。そのため、直接後を託されたことも背中を押しているだろうが、憧れの大先輩の分まで頑張らなければいけないという想いは、人一倍強いにちがいない。それがプレイにもあらわれ、今回の躍進につながっているのであろう。実際、ダムスゴーがエリクセンについて次のようなコメントを残していた。

「エリクセンは、僕にインスピレーションを与えてきた選手と言える。僕が最もお手本にしようとしている選手のひとりなんだ。幼い頃からとてもリスペクトしてきた。彼と同じ10番でずっとプレイもしてきたので、彼をリスペクトしない方がおかしいね。僕は彼の試合を見て、どうやってスペースを見つけているのかなど、さまざまなことを研究してきた。代表チームで彼と一緒になり、彼がどんなトレーニングをしているのか見られたときはどうにかなりそうになったよ(FC Internews.itより)」

また、準々決勝でチェコと相見える7月3日は、ダムスゴーの21歳の誕生日でもある。自身の誕生日を勝利で祝福するとともに、ベスト4を勝ち取ることができるのか。エリクセンの意思を受け継ぐこの“デンマークの希望”の活躍に注目だ。

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