インテル、優勝チームが1年で解体も? 名将退任は主力選手たちの去就にも影響か

インテルを去ることとなったコンテ監督 photo/Getty Images

チームにとどまる大きな要素が1つなくなった

インテルは26日、アントニオ・コンテ監督がチームの指揮官を退任することになったと発表した。クラブを11年ぶりにスクデットへ導いていた名将がチームを去ることを受け、主力たちの流出も懸念される。

この発表は、今季の終了からわずか3日後の出来事。コロナ禍のダメージによって、インテルのオーナーグループである蘇寧グループの不振が以前から伝えられ、前々から指揮官の退任も噂されていたことではあった。しかし、いざ実際に発表されてみると、驚きを隠せなかったインテリスタも少なくないのではないか。黄金期の再来を予感させる、それほど今季のインテルはセリエAで圧倒的な強さを発揮していただけに、コンテ体制がわずか2年で終焉を迎えるとは思ってもみなかっただろう。

ただ、インテルの悲劇はこれだけで終わらないかもしれない。主力たちの流出も噂されているのだ。オーナーグループの不振の影響で、金銭を捻出するために、コストを抑えるために選手を手放さざるを得ない状況もあるかもしれない。ただそれ以上に、熱いハートで多くの選手たちにリスペクトされていたコンテ監督がチームを去ったことが、選手たちが今後の去就を決める上での大きな決定打となってしまうのではないかと懸念される。指揮官の存在は、選手が戦う場所を選ぶ上で大事な要素の1つだからだ。
優勝を成し遂げたということは、それだけチーム内には活躍したり、結果を残したりした選手がいるということ。つまり、所属しているたくさんの選手たちが、他のクラブから目をつけている可能性も高いということだ。より好条件のオファーや、選手が気になるようなクラブからオファーがきた際、この名将をリスペクトしていた選手たちにとって、今回の発表は「コンテ」というチームにとどまる要素が1つなくなってしまったことを意味する。

コンテへのリスペクトを口にしてきたルカク(左)とL・マルティネス(右)photo/Getty Images

「彼のためなら死ぬまで戦えるくらいだ。彼のチームでプレイしたいと常に思っていた(ロメル・ルカク)」

「コンテは僕の加入を望んでいると電話で伝えてくれた。僕の考えを聞いてくれたし、どのようにやっていくのかも説明してくれた。自分が重要な存在であることを感じさせてくれるものだったんだ。彼と始めたプロジェクトがここにはある(アクラフ・ハキミ)」

「コンテが大好きだ。僕はこのプロジェクトの一員でいられることが幸せだよ(ラウタロ・マルティネス)」

「コンテの下では、あらゆる部分で成長できる。110%の力を引き出してくれることは、僕にとって素晴らしいことだ(ニコロ・バレッラ)」

「2年間ハードで大変だったけど、最後はその成果が報われた。コンテは、正しかった。あなたのもとで選手としても、キャプテンとしても学ぶことが多かったよ。一緒に働いて優勝できたことは、特別なことだ(サミール・ハンダノビッチ)」

「コンテは初日から僕のことを信頼してくれた。ピッチの内外で僕のことを成長させてくれたよ。さらに、大好きなクラブでプレイして優勝するという夢を叶えてくれた(アレッサンドロ・バストーニ)」

これらは、コンテ監督に対する主力選手たちのコメントだ。いかに彼が選手たちから慕われていたか、信頼されていたかわかるだろう。もちろん、チームのためと思ってプレイしてきてはいるだろうが、それ以上にコンテの下で戦いたいと思い、ここまでプレイしてきた選手たちもいたかもしれない。そんな選手たちにとっては、非常にショックな出来事となってしまっただろう。来季はコンテがいないならと、心がチームから離れてしまう選手も出てきてしまうかもしれない。

以前、チームの10番を背負うラウタロ・マルティネスは「コンテは好きだ。ただ、彼がクラブを去ったとしても僕はインテルのためにハードワークを続ける」と述べていたが、他の選手も同じ意見とは限らない。最悪の場合、優勝チームが1年で解体される可能性もあるインテルだが、コンテの退任が選手たちの今後の去就にどんな影響を及ぼすのか。

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