出場枠が8.5まで増えても中国代表は2026W杯アジア予選を突破できず 未来へのカギはアマチュア活動にあり?「政府による強化策とは異なるもの」

アジア最終予選で惨敗の終わった中国代表 photo/Getty Images

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中国スーパーリーグからの代表強化策は失敗

2026W杯から出場国が32から48に拡大し、それに伴いアジアの出場枠も4.5から8.5まで拡大したが、それでも中国代表はアジア予選を突破できなかった。

中国はアジア最終予選で日本代表と同じグループCに入り、6チーム中5位でフィニッシュ。プレイオフへ進む権利も掴めず、3勝7分の惨敗で予選を終えた。

この結果だけを見れば、中国サッカー界の強化策が上手くいっているとは言い難い。2010年代は中国スーパーリーグにも欧州からスター選手が続々とやってきていたが、近年はクラブの破産報道の方が話題だ。スターは少なくなり、注目度は明らかに落ちている。
ただ、英『Daily Mail』は中国サッカー界にはまだ可能性が残っていると今後の発展に希望をかけている。まず今年の中国スーパーリーグは先週に全日程を消化し、上海ポートが優勝。前述の通りスター選手は少ないものの、今年の中国スーパーリーグは前年から平均観客数が6000人ほど増えた2万5000人を記録している。

さらに全国各地でアマチュアの地域リーグが活況を見せていて、その火付け役となった江蘇省では13チームが参加する江蘇シティリーグが今年5月に発足。アマチュアリーグながら、平均観客数は3万人を記録したのだという。

仏のEMリヨン・ビジネス・スクールにて教授を務め、アジアサッカーに詳しいサイモン・チャドウィック氏は中国サッカー界に新たな風が吹いていると語る。

「中国サッカー界で新時代の芽が出始めているのは間違いない。このアマチュアリーグの成長は、政府による押し付けや投資家による急ピッチの強化策とは異なり、より自然発生的なものだ。地域に密着し、サッカーを心から愛する人々によって推進されているのだ」

中国スーパーリーグの強化から中国代表の強化へ繋げる試みは失敗したと言えるが、同メディアは地域密着型のアマチュアリーグが活況となることで何かが変わるかもしれないと注目している。まだまだ時間はかかるだろうが、政府主導のトップダウン型の取り組みとは真逆のものであることは確かだ。成功を急がず、長期的な視点に立った強化策ができればW杯出場への道も見えてくるかもしれない。

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