雨に打たれるジダン、雨宿りするクーマン エル・クラシコで見られた両指揮官の差

大雨の中でもタッチライン際まで出て指示を出すジダン監督 photo/Getty Images

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指揮官対決もレアルに軍配か

サッカーの試合において、チームの指揮を執る監督の熱量はピッチに立ってプレイする選手たちを奮い立たせ、時に勝敗をも左右するかもしれない。

10日に今季2度目のエル・クラシコが開催され、レアル・マドリードがホームにバルセロナを迎え入れた。9試合を残してアトレティコ・マドリードに首位の座を明け渡しているスペインの両雄。勝ち点差「3」で追う3位レアルにとっても、同「1」のバルセロナにとっても、首位を追走するために絶対に落とすことのできない戦いだ。

そんな一戦ということもあり、両チームが立ち上がりから球際に激しくいき、一歩も譲らない展開を見せたが、13分にカリム・ベンゼマ、28分にトニ・クロースとレアルが立て続けにゴールネットを揺らし、2点リードしてハーフタイムを迎える。後半に入ると、バルセロナが猛反撃に出るも、レアルの身体を張った粘り強い守備に苦しめられ、1点しか返すことができず。前半のリードを守り切ったレアルが、2-1でバルセロナを撃破した。
この勝利で見事エル・クラシコ3連勝を飾り、暫定ではあるもののアトレティコと勝ち点で並び、首位に浮上したレアル。負傷交代を強いられたり、終了間際に退場者を出したりもしたが、最後のところでしっかりと身体を投げ出すなど気迫のこもったプレイが終始光り、選手たちのエル・クラシコに対する熱い想いや勝利への執念が垣間見れた。ただ、それは選手だけではない。指揮官の試合への熱量でもレアルがバルセロナを上回っていたかもしれない。

今回のエル・クラシコでは、後半開始直後からカメラのレンズ越しからでも分かるほどの大粒の雨が降りしきり、選手たちは難しい状況の中での戦いを余儀なくされた。その際、レアルの指揮官であるジネディーヌ・ジダン監督は大雨を気にせず、身につけていた黒いコートをビシャビシャに濡らしながらタッチライン際で選手たちへ指示を送り続ける。一方、バルセロナの指揮官を務めるロナルド・クーマン監督は、1点差に詰め寄ったということもあってか、終盤にはたまらずベンチを飛び出していたが、屋根付きのベンチの中から戦況を見守る姿がしばしばカメラに捉えられていた。

クーマン監督は、ベンチを飛び出して激しく指示を飛ばすタイプではない。ただ、普段からテクニカルエリアいっぱいまで出て、ピッチをじっと見つめる姿がよく見受けられる。ベンチの中から指示を出すことが決して悪いわけではない。しかし、エル・クラシコという重要な一戦に加えて、リードしている敵将のジダン監督が雨を気にせずチームを鼓舞している。こういった姿を見させられると、両指揮官の熱量の差に失望してしまうバルセロナファンもいたかもしれない。実際にTwitterでは、スペイン語で次のように綴るバルセロナファンの意見もちらほら見られた。

「ジダンはタッチラインの側で選手とともに闘っているのに、クーマンはベンチでポケットに手を突っ込んでいる」

「リードしているジダンがベンチの外にいるのに、クーマンは雨を避けるためにベンチの中にいる」

大雨の中でも、選手と心をひとつにして最後まで闘ったジダン。両指揮官の熱量の差が直接勝敗を分けたわけではないが、レアルはこのエル・クラシコで勝つべくした勝ったのかもしれない。こういった姿が選手たちからジダン監督がリスペクトされる理由であり、スーパースター軍団であるレアルをまとめあげられている理由に違いない。

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