上位陣に大きな差はない “PK除外”の観点から見るセリエA得点王争い

今季セリエAで得点王争いを繰り広げるルカク(左)、C・ロナウド(中央)、イブラヒモビッチ(右) photo/Getty Images

現在トップを走るのはC・ロナウドだが

ここまでACミランがタイトルレースを牽引し、それにインテルが勝ち点差わずか「1」で追いすがる興味深い展開となっている2020-21シーズンのイタリア・セリエA。昨季まで絶対王者として君臨していたユヴェントスは現時点で6位に沈むこととなっており、今季のスクデット争いはいつになく盛り上がっていると言っていいだろう。

しかし、その一方では個人タイトルの争奪レースも激化している。ここまで同リーグの得点王争いにおいて、トップを走るのは12ゴールを挙げているクリスティアーノ・ロナウド(ユヴェントス)。しかし、そのすぐ後ろには11ゴールのロメル・ルカク(インテル)が張り付いており、3位のズラタン・イブラヒモビッチ(ACミラン)も10ゴールと上位陣の差は肉薄している。C・ロナウドとは少し離れるが、9ゴールを挙げ4位タイで並ぶチーロ・インモービレ(ラツィオ)やアンドレア・ベロッティ(トリノ)にもまだチャンスはあるだろう。

そんなデッドヒートが続くセリエAの得点王争いだが、彼らの“PKなし”のゴール数を比べてみるとさらに面白いこととなる。実は流れの中からの得点数というのは、ランキング上位陣で全くと言っていいほど差がないのだ。
2020-21シーズン、上位3名がセリエAの試合で挙げたPKによる得点はC・ロナウドが4ゴール、ルカクが3ゴール、イブラヒモビッチが2ゴールとなっている。そして、全得点数からこの数字を引いてみると、彼ら3人は8ゴールで並ぶ結果となる。インモービレとベロッティはそれぞれ「2」で、PKによる得点を除いた数字は7ゴール。さらに、こうしたフィルターをかけてみると、ここまで“PKなし”で7ゴールを挙げているヘンリク・ムヒタリアン(ASローマ)もこの争いに加わってくるから面白い。

意外にも、流れの中における得点能力は上位陣の中で拮抗しているセリエAの得点王争い。それぞれのチームが残り試合でどれだけPKを稼げるかは全くの未知数となってくるだけに、今後はさらなる大混戦となる可能性は決して低くないだろう。

もちろん、これが単なる数字遊びの一つに過ぎないことは否定できない。PKによる得点もまたストライカーとしての度胸が試されるものであって、決して簡単に得点数を稼げる手段ではない。しかし、たまにはこうした観点からも、今季の得点王を占ってみるのも悪くはないはずだ。

記事一覧(新着順)

電子マガジン「ザ・ワールド」No.292 最強ボランチは誰だ

雑誌の詳細を見る

注目キーワード

CATEGORY:コラム

注目タグ一覧

人気記事ランキング

LIFESTYLE

INFORMATION

記事アーカイブ