もう1人の“久保”は今 久保建英に主役奪われたリオ世代のエース

アジア最終予選で活躍していた久保 photo/Getty Images

2年前の久保といえば……

ここ最近の日本サッカー界は18歳のMF久保建英が完全な主役となっている。マジョルカでリーガ・エスパニョーラ初ゴール、9月10日のミャンマー戦でワールドカップ・アジア予選における日本代表最年少出場記録更新など、久保の一挙手一投足に大きな注目が集まる。

今や日本の“クボ”と言えば久保建英のことを指すが、2年前は別のクボが日本の主役だった。日本代表前監督のヴァイッド・ハリルホジッチが好んで招集していたFW久保裕也である。

今の森保一監督率いる森保ジャパンでは中島翔哉、南野拓実らリオデジャネイロ五輪世代がチームの中心となりつつあるが、久保もこの世代の選手だ。しかも当時の久保は南野や中島以上の評価を受けており、リオデジャネイロ五輪出場を目指す日本代表の中心選手だった。U-23アジア選手権2016ではエース級の働きを見せ、全6試合に出場してチーム最多の3得点を記録している。

A代表で主力となるのも南野や中島より早かった。ハリルホジッチ監督が2016年11月11日のオマーン戦に招集し、その4日後に行われたロシアワールドカップ・アジア最終予選のサウジアラビア戦ではスタメン出場まで果たした。当時動きが鈍かった右サイドの本田圭佑に代え、思い切って若い久保を抜擢したのだ。

このチョイスは当たり、久保は2017年3月のアジア最終予選・UAE戦、タイ戦で1得点1アシストを記録。当時はハリルジャパンの戦いにも批判的な意見が出ていたが、久保の登場で空気は一変。リオデジャネイロ五輪世代の中心選手だったこともあり、Newスター候補と騒がれるようになった。

クラブの方でも2017年冬に加入したベルギーのヘントで大暴れし、ベルギーで日本人旋風が巻き起こることになった。今やベルギーリーグにおいて日本人選手は珍しい存在ではなくなったが、その日本人ブームに久保が大きな影響を与えたのは間違いない。それこそ当時は今の久保建英のように、毎週ヘントで活躍する久保裕也のことが日本でも話題になっていたものだ。

あれから2年。状況は大きく変わり、森保ジャパンにはリオデジャネイロ五輪世代よりも若い東京五輪世代が続々と入ってきた。右サイドでは堂安律が主力となり、久保建英、DF冨安健洋、MF板倉滉など、東京五輪世代も海外でプレイする実力者が揃う。すっかり彼らがNewスター候補となり、久保裕也の影はどんどん薄くなってしまった。最後に日本代表として久保裕也がプレイしたのは2018年3月のウクライナ戦である。

想定外だったのは2018年夏に移籍したドイツのニュルンベルクで大苦戦したことで、昨季はまさかのリーグ戦1得点でシーズンを終えてしまった。ここで久保のキャリアに急ブレーキがかかることになり、それは今季より復帰したヘントでも変わっていない。今季はリーグ戦6試合の出場に留まっており、未だにリーグ戦では得点がない。

久保といえば久保建英のイメージがすっかり定着してしまい、今も久保裕也がベルギーで奮闘していることを知っている人は多くないかもしれない。しかし、まだ年齢は25歳だ。本来であれば南野、中島とともにリオデジャネイロ五輪世代の久保裕也も代表の主役とならなければならない。このまま堂安、久保建英の東京五輪世代2人に負けっぱなしというわけにもいかないだろう。

久保裕也は同じくロシアワールドカップ・アジア最終予選で大活躍したFW浅野拓磨、MF井手口陽介とともに「ハリル・チルドレン」と呼べる存在だった。この3人がその後揃って苦戦することになったのは残念だが、浅野も井手口も森保ジャパンでの一歩を踏み出している。次は久保裕也の番だ。2022カタールワールドカップへ挽回の機会は残されているはずで、リオデジャネイロ五輪世代のエースだった実力をもう1度証明してほしい。

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