[水沼貴史の欧蹴爛漫019]べティス戦で守備崩壊 バルサが独走できない理由は……

メッシの復帰試合を勝利で飾れず photo/Getty Images

クラシコで大勝を収めたものの......

水沼貴史です。先月28日の“エル・クラシコ”で解説を担当させて頂きましたが、リオネル・メッシを欠いた中でレアル・マドリード相手に5点を挙げたバルセロナの攻撃は見事でした。宿敵レアルを完膚無きまでに打ちのめし、波に乗るかと思われたバルセロナですが、今月11日に行われたリーガ・エスパニョーラ第12節ではべティス相手に3-4と、ホームでまさかの敗戦を喫しています。今季のリーグ戦で彼らが独走態勢に入れない原因は、どこにあるのでしょうか。

ブスケッツ(写真奥)が前に出た際の守備が課題となっている photo/Getty Images

守備の約束事が曖昧に

今季のリーグ戦12試合が終わった段階で18失点。これは上位6クラブの中で最も多い失点数です。守備に問題があることは明白ですし、最近の試合では敵陣でボールを失った直後の守備がうまくいっていないのが気になります。特に攻め上がったウイングFWの背後のスペースを簡単に使われているのが気掛かりですね。ボールを失った瞬間に相手の縦方向のパスコースを消し、相手に横や後方へのパスを選択させる守備を得意としてきたバルセロナですが、3トップの顔触れが試合ごとに変わっているため、守備面の連係や正しいポジショニングを落とし込みきれていないように見受けられます。今季ウイングFWとして起用されることが多いフィリペ・コウチーニョ、マウコム、ウスマン・デンベレらに、自身の背後を使わせないポジションをとらせることができるか。エルネスト・バルベルデ監督の腕の見せ所と言えるでしょう。

また、敵陣でボールを奪いきれなかった際に、どのように守るのかが現時点で不明瞭です。特にセルヒオ・ブスケッツがアンカーポジションから前に出て守備を行わざるを得なくなった時に、元々彼がいたポジションを誰がケアするのかという点が曖昧になっていると、私は思います。

今月6日に行われたUEFAチャンピオンズリーグ(インテル戦)では、ブスケッツが相手のプレイメーカーであるマルセロ・ブロゾビッチにアプローチする場面がありましたが、その際に元々ブスケッツがいたポジションが空いてしまい、あわやピンチというシーンが何回かありました。ブスケッツが前に出た際はイヴァン・ラキティッチやアルトゥールが帰陣してアンカーポジションを埋めることを徹底させるなど、戦術的な手当てが必要でしょう。

前線からの守備がはまらず、中盤でもフィルターをかけきれなかった試合で勝ち点を取りこぼしているというのが、バルセロナの現状です。ベティス戦の2失点目がその最たる例で、相手の縦に速い攻撃やサイドチェンジのパスに3人のセントラルMFが置いていかれ、自陣バイタルエリアのスペースを簡単に空け渡してしまいました。

最終ラインや中盤を下げ、自陣バイタルエリアのスペースを消すという方策もありますが、そもそもバルセロナは自陣ゴール前で守備ブロックを敷き、ロングカウンターを放つという戦い方を信条としていません。前線の選手層の厚さや決定力の高さは欧州随一ですので、長年にわたり実践してきた前線からの連動した守備、敵陣でのボールの即時奪回の練度を高めることが彼らにとって勝利への近道になると、私は思います。24日にアトレティコ・マドリードとの首位攻防戦(リーガ・エスパニョーラ第13節)を控えている彼らですが、この大一番を前に直近の試合で浮き彫りとなった問題を改善できるか。彼らにとって、今季の行方を占う一戦と言えるでしょう。

ではでは、また次回お会いしましょう!


水沼貴史(みずぬまたかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている。

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