日本ならポーランドに勝てると誰もが信じていた グループステージで次々と起きた手のひら返し

死にもの狂いでベスト16入りを果たした日本代表 photo/Getty Images

ブーイングも期待が大きかった証か

日本代表がポーランド代表戦で見せた時間稼ぎは、世界的に大きな議論を呼ぶこととなった。日本はポーランドに0-1で負けていたにも関わらず、セネガル代表とのイエローカード数の差で2位通過を狙うべく時間稼ぎに打って出たのだ。スペクタクルなゲームを求めていた観衆、日本代表のサポーターからすれば納得のいかないところもあったかもしれない。しかし、ワールドカップ開幕前のことを考えればこのような議論が起こるのは喜ばしいことではないだろうか。

開幕前はヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の電撃解任、本田圭佑や岡崎慎司らベテラン重視のメンバー選考、結果が出ない親善試合などサポーターから多くの批判を浴びたままロシアへ向かうことになった。今大会は3戦全敗が妥当、若手に経験を積ませることすらできない最悪の大会になるといった意見も目立った。世界も日本をグループH最弱と評価し、コロンビア、セネガル、ポーランドの3国で決勝トーナメント行きを争うと予想していたのだ。約2週間前にそのような低評価だったことを考えれば、今回のポーランド戦で起きたブーイングは逆に嬉しくもある。

グループH最弱と評価されていたチームが次々とミラクルを起こして決勝トーナメント進出まであと一歩のところまできたのだから、最後に時間稼ぎをして必死に生き残ろうとするのは全くおかしなことではない。イエローカードの差に頼ろうとも、グループを通過できるなら何でもOKだろう。日本に限らず、弱小と評価されていたチームが同様のシチュエーションになれば必死に時間稼ぎをしたはずだ。日本はパスを回して時間を潰したが、接触もないのに足が痛いとピッチに倒れこんで時間を潰すなどの行為も、欧州や南米のリーグでたまに見られる光景だ。グループ最弱と評価されるチームが決勝トーナメントに行くには、どんな手でも使わないといけない。常に真っ向勝負で決勝トーナメントに行けるのならば、そもそも弱小ではない。

今回起きたポーランド戦でのブーイングも、手のひら返しの1つと判断できる。あれだけ日本を批判していたサポーターがコロンビア、セネガル相手の戦いで日本の力を再確認し、ポーランドにはどこか勝って当たり前といった空気感まであった。だからこそ、今回のゲーム内容に怒りの感情が湧いてきたのだろう。サポーターの誰もが勝利を信じていたのだ。開幕前は3試合で10失点して日本に帰ってくるといった意見まであったのだから、今回のブーイングは何とも興味深い。

世界も同じだろう。コロンビアとセネガル相手の戦いを見た世界のサッカーファンも日本ならポーランド相手にもっとクリエティブなゲームができると感じていたのではないか。特に2-2で引き分けた第2節のセネガル戦は各国のメディアからも絶賛され、今大会ベストゲームの1つとまで言われていた。それほど日本の攻撃は魅力的で、あれほど強いと言われていたセネガルがギリギリのところまで追い詰められたのだ。日本がグループH最弱と評価する声は全く聞こえなくなり、日本の技術は世界的に認められた。現地で観戦した世界のサッカーファンの多くは日本の華麗なるアタッキングフットボールを楽しみにしていたに違いない。

思えばグループステージは3試合を通して手のひら返しの連続だった。コロンビアになど勝てるはずはないと諦めムードだったのが、試合開始早々に相手選手がハンドで退場したことから雰囲気は一変。コロンビア相手に勝利したことで日本に再びのワールドカップブームが訪れた。

続くセネガル戦では大会前に多くの批判を浴びていたMF本田圭佑が同点弾を記録。本田はコロンビア戦でもコーナーキックから大迫勇也のゴールをアシストしていたが、アシスト以外は動きが悪い、守備に走らない、危険なバックパスがあったと散々の評価だった。それがセネガル戦のゴールで手のひらがクルリと返り、本田さんゴメンなさいなどというワードまで出てきた。

そして最後のポーランド戦では第1戦、第2戦と批判され、コメディ扱いまでされていたGK川島永嗣がスーパーセーブを披露。結果的に1失点して敗れたものの、川島に対する評価もこの試合で大きく変わった。2010南アフリカ大会で当時の岡田武史監督に対する手のひら返しも印象的だったが、これほど毎試合手のひらがひっくり返るワールドカップも珍しい。

ポーランド戦の締めくくり方は正々堂々としたものではなかったかもしれない。しかし批判するサポーターの中から「日本は弱小」という気持ちは完全に消えていたように思える。3戦全敗10失点と予想されていたチームがグループを通過したのだから大喜びとなるはずが、いつしか内容にまでこだわるようになっていたのだ。ロベルト・レヴァンドフスキが相手にいようとも、今の日本ならポーランドに勝てると信じている者の方が多かった。これは大きな変化だ。ベスト16では強豪ベルギー代表と対戦することになり、選手層では歯が立たない。開幕前ならボコボコにされると誰もが予想しただろうが、今ならもしかして……とミラクルの続きを期待しているサポーターの方が多いのではないだろうか。
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