マンチェスター・シティやドルトムントでプレイし、西ドイツ代表にも選ばれた元GKアイケ・インメル氏。同氏は2008年に破産していたが、このたび107件の詐欺事件に関連して有罪判決を受け、2年2カ月の懲役刑となった。
罪状の多くは借金の返済を踏み倒したことによるもので、EUROのチケットを売るといって金銭だけを受け取り、チケットを届けなかったこともあったという。『BILD』によると、弁護士は次のように発表している。
「インメル氏は、本日法廷で議論されている内容を深く恥じています。彼はその日暮らしです。この事実は何年も前から公に知られていました。彼はプロの詐欺師ではなく、失敗した元サッカー選手です」
64歳のインメル氏は1997年にマンチェスター・シティでプレイしたのち引退した。1982年と1986年のW杯、1988年のEUROで西ドイツ代表にも選ばれた名GKだったが、引退後の暮らしはうまくいかなかったようだ。現在は月563ユーロの国の給付金で暮らしており、故郷のシュタットアレンドルフにある公営住宅に住んでいるという。
刑務所行きが決まる前、同氏はTVドキュメンタリー『Armes Deutschland(貧しきドイツ)』の取材を受け、暮らしぶりを明らかにしている。
「昔は何百万ドルも稼いでいました。でも今は563ユーロで暮らしています。国は助けを必要とする人々を支援しています。本当に素晴らしいと思います」
「私はキャリアを通じて少なくとも1000万ユーロを浪費したに違いありません。かつては大変人気がありました。レストランでは一番いい席に座ることができたし、車のディーラーからは大幅な割引を受けることができました。どこへ行っても恩恵を受けてきました。私の給料はどんどん増えていき、マンチェスター・シティに移籍した頃には年間100万ポンド近くを稼いでいました。そのお金は、私が残りの人生を生きていくのに十分だったでしょう」
「でも私は離婚し、子供たちをきちんと世話しなければならなかったので、その大部分はそれに費やされました。その後不動産投資で失敗し、多額のお金を失ってしまいました。私はまったく節約しませんでした」
昨年も、ドイツメディア『stat 1』のインタビューで暮らしぶりを語っていたことがある。
「携帯電話の料金が月に1万ユーロにも達することがありました。クリスマスには、新しい彼女の服に2万5000ポンドも使いました。私は家を100万ポンドで購入しましたが、ある時点で税務署から80万ポンドが未払いだと言われたんです。払えませんでした。普通の人ならあり得ないと思うようなことをしてしまったんです。将来のことについて十分に考えていませんでした。お金の扱いは私の得意分野ではありません。やりくりするのは本当に大変です。2ポンドしか残らないときもあります」
裕福だったはずが、無計画な暮らしで借金を踏み倒すまでに転落してしまったインメル氏。大いに反省しているというが、スポーツ選手の引退後の身の振り方を考えさせられる事件だ。