鈴木大地会長が水泳実技授業の減少に警鐘 水辺の安全、「国民皆泳」が使命と声明を発表

命を守る観点で水泳実技授業の必要性を訴えた鈴木会長 photo/Getty Images

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課題と解決策に言及

公立小中学校でプール設置数が減少傾向にある。それを受けて、日本水泳連盟の鈴木大地会長が7日、「学校水泳授業の現状と課題」と題した声明を発表した。

鈴木会長は、今回声明を出した理由として、全国の小中学校のプール設置数の減少に言及。それに応じて文科省が定めた学習指導要領で任意とされている実技授業の減少を懸念し、その問題提起や解決策に関する考えを記した。



以下、同会長の声明全文


【命を守るスポーツ水泳】
四方を海に囲まれ美しい河川・湖に恵まれる日本では、古来より水辺と接点を持ちながら生活が営まれてきた。それに伴い、「泳ぐ」ということが日常で行われ、日本独自の泳法「日本泳法」が発達し西洋泳法の導入とともに健康増進や競技スポーツとしても発展を遂げてきたが、同時に「水難から命を守るスポーツ」という生活安全面での重要性も認識されてきた。

1955年、相次いだ水難事故(※1)を契機として小中学校学習指導要領に学校のプール設置と水泳授業の取り組みが明記された。以来、学校のプール設置と水の安全教育・泳ぎの基礎学習が進み、児童の水難事故防止と健康増進に大きく貢献してきた。
(※1)1955年5月、紫雲丸船衝突事故で小中学生100名犠牲、同年7月、三重県女子中学校海水浴訓練中の事故で中学生36名犠牲。

【学校プール施設の減少、水泳実技授業の継続性に懸念】
2021年度調査(スポーツ庁)で全国小中学校プール設置数は約2万2000カ所と1990年代のピーク時から約6000カ所の減少である。これは少子化による小中学校の統廃合という側面もあるが、学校プール設置率の減少傾向も顕著であり、さらに近年の夏季猛暑による屋外プール稼働日数減少や、プール施設の老朽化と修繕・管理コスト増により校内プール施設使用の存続が危ぶまれている。

学習指導要領には「適切な水泳場確保が困難な場合には水遊び、水泳運動を取り扱わないことができるが、水泳の事故防止に関する心得は必ず取り上げること」と記され、水泳授業は必須ながらも実技授業は任意である。つまり、学校プール施設の減少は「水泳実技授業」実施校の減少にもつながるものとして大変憂慮している。

陸上運動とは異なり水の特性を体感することから始まる水泳は、体験無くして習得することは不可能である。一方で施設経費や教員の労務負担増などの水泳実技授業実施にあたっての諸課題もあり、その解決策も含め今後提言をしていきたい。

【水泳実技授業継続に向けて】

1・拠点校のプール整備(屋内温水化)と複数校での年間共同利用
2・公営プールの活用(教員の施設管理負担減、管理コスト減)
3・民間プールの活用(教員の施設管理負担減、管理コスト減)
4・授業拠点となる公共室内プール新設(各校の改修・管理コスト減)
5・民間水泳指導員の派遣活用(教員の指導経験不足の補助)
6・民間水泳教室への指導補助委託(教員の指導経験不足の補助)

日本水泳連盟は、健康増進・水辺の安全を目的とした水泳の普及=「国民皆泳」を使命としている。すべての児童の水泳体験機会の維持に向けて、その必要性を強く説いていく所存である。

公益財団法人日本水泳連盟 会長 鈴木大地

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