2016年にマンチェスター・シティに監督としてペップ・グアルディオラが就任し、その後2017年にトッテナムから獲得したイングランド代表のカイル・ウォーカーは不動の右SBとしてチームを長年支えてきた。
トッテナム時代は大外のレーンでの上下動を得意とし、オーバーラップから幾度となくチャンスを演出していた。しかしシティ移籍後は求められるタスクが変わり、激しい上下運動ではなく、ビルドアップの一角を担うことが多くなった。それでもウォーカーはプレイスタイルを柔軟に変え、ペップ体制のシティには欠かせない存在として数々のタイトル獲得に貢献してきた。得意のオーバーラップもここぞという場面で活用し、万能DFとして欠かせない存在であった。
しかし、ここ数試合彼の置かれている状況は変わりつつある。過去7試合では2試合しかスタメン出場しておらず、出場時間に恵まれていない。昨シーズンは右にウォーカー、左はジョアン・カンセロという不動の両サイドであったが、今シーズンの左の中心は指揮官からの信頼も厚いネイサン・アケに変わっており、カンセロは現在はバイエルンに期限付き移籍している。それでも右サイドはウォーカーがファーストチョイスになると思われたが、本職はCBのジョン・ストーンズがここ数試合は起用されている。今シーズンから加入したマヌエル・アカンジがCBとして早くもフィットしたことも大きいが、偽SBとしてのストーンズの活躍をペップは絶賛している。
ペップはウォーカーを起用しない理由として「彼(ウォーカー)は偽SBができない。インサイドでプレイするためには、いくつかの賢い動きをしなければならない」と英『BBC』にて言及している。また「彼には他の特徴がある。彼には常に速さがある。60歳であっても、ここにいる人間のなかで最も速いだろう」と続けた。「理由は戦術的なものだ。カイルへの信頼を失ったからではない」ともコメントしており、指揮官の求めるタスクの違いにより、現在は出場時間に悩まされている
しかし、彼のフィジカルやスピードを活かした対人守備は、間違いなくチームに必要だ。特にCLなど相手ウイングに強力な選手がいる場面こそウォーカーが必要になってくるであろう。トッテナム時代から大きくプレイスタイルを変え、進化を続けてきた32歳はさらにここからワンステップ高みに登ることができるか。