27日にFIFAフットボール・アワード2022が開催され、男子の最優秀GKにはアルゼンチン代表の守護神としてFIFAワールドカップカタール大会制覇に貢献したアストン・ヴィラ所属GKエミリアーノ・マルティネスが選ばれた。
カタール大会では勝利した際のセレブレーションが批判を浴びるなど、大会後はネガティブな形で注目を集めることになったマルティネスだが、PK戦でも勝負強さを発揮するなどパフォーマンスレベルは高かった。
何より驚かされるのは、アルゼンチンの守護神に至るまでのマルティネスの軌跡だ。
マルティネスは2012年にアーセナルのトップチームへ昇格しているが、アーセナルでの出場試合は通算38試合に留まる。オックスフォード・ユナイテッド、シェフィールド・ウェンズデイ、ロザラム・ユナイテッド、レディングなどイングランドの下位カテゴリーで戦うチームへのレンタル移籍を続けるばかりで、アーセナルではほとんど出番がなかったのだ。
そんなキャリアが2020年に急変する。当時チームの1番手だったベルント・レノが負傷離脱し、2019-20シーズンの終盤戦に出番が回ってきたのだ。そこでのパフォーマンスが評価され、2020-21シーズンからは同じプレミアリーグのアストン・ヴィラへと移籍。そこで守護神に定着し、2021年にはアルゼンチン代表デビューを果たした。
アストン・ヴィラでGKコーチを務めてきたニール・カトラー氏は、マルティネスが優れたGKになるべく努力を継続してきたと称える。
「プレミアでサブのGKだったところからワールドカップ制覇まで短期間で辿り着くキャリアはにユニークなものだが、エミが急速に成長したことには理由がある。彼は目標とする場所へ辿り着くために必要なことは何でもする意志があったし、情熱は確かなものだった」
「エミはワールドカップで勝つために何でもしてきた。栄養士、ヨガ、ピラティスのトレーナーもつけていて、次の試合へ備えるべく時には真夜中にスイミングを取り入れたことも知っている」(英『BBC』より)。
28歳での代表デビューは遅咲きの部類に入る。ここまで時間はかかったものの、努力は裏切らなかった。アーセナルでのプチブレイクから僅か2年ほどで世界のトップに辿り着いたことになり、ここまでキャリアが変わるとは自分でも想像していなかったかもしれない。