FIFAワールドカップ・カタール大会ラウンド8の最注目カードはイングランド対フランスだった。結果は1-2でフランスの勝利に終わった。
試合前にはカイル・ウォーカー対キリアン・ムバッペのマッチアップが注目されており、試合結果ではフランスが勝利したが、この対決に関してはイングランドの勝利といえる。
ムバッペはここまで先発した全試合でゴール、もしくはアシストを記録していたが、イングランド戦ではどちらもなく試合を終えている。
英『The Athletic』ではイングランド戦でのムバッペのスタッツを紹介している。タッチ数40回、相手ボックス内でのタッチ数3回は今大会で最も少なく、全体のタッチ数が40回を下回ったのは、2018年ロシア大会の決勝のみだけだという(39回)。またアタッキングサードでのパス数(16回)、ドリブル成功数(2回)もカタールでの最低値だったようだ。
ムバッペにこれだけの数字しか記録させなかったのはウォーカーの存在が大きい。スピードと強度、判断力は現状守備的サイドバックではトップであり、イングランド戦では味方の協力力もあってムバッペを完封した。
「誰かがムバッペを止めるとしたら、カイルしかいない」
ポーランド代表のマティ・キャッシュはフランス戦後、このようなコメントを残している。
イングランドがウォーカーをムバッペに必ず対応できるポジションに置いていたのは大きいといえる。SBは攻守両面での貢献を求められるが、フランス戦でウォーカーはほとんどの時間、自陣にいた。右サイドをオーバーラップすることなく、ひたすらムバッペの攻撃に備えていたのだ。そのためかイングランドの右サイドの攻撃は迫力の欠けるものとなってしまった。ブカヨ・サカの個での突破しか方法はなく、ジョーダン・ヘンダーソンはアクセントを付けようと動いていたが、効果的なものではなかった。
ムバッペを封じられることになっても2ゴールを奪えてしまうフランス。センターフォワードのオリヴィエ・ジルー、右サイドのウスマン・デンベレは脅威であり、イングランド戦では中盤のオーレリアン・チュアメニが素晴らしいミドルシュートを沈めた。ベスト4で対峙するモロッコにはウォーカーほどの守備者はおらず、レ・ブルーがファイナル進出を決めることになるだろう。