水沼貴史です。今季も熱き戦いが繰り広げられているチャンピオンズリーグですが、準決勝と決勝を残すのみとなりました。ベスト4に勝ち進んだチームは、マンチェスター・シティ、リヴァプール、レアル・マドリード、ビジャレアル。プレミアリーグとリーガ・エスパニョーラのクラブが2つずつです。ジョゼップ・グアルディオラ(シティ)、ユルゲン・クロップ(リヴァプール)、カルロ・アンチェロッティ(レアル)ウナイ・エメリ(ビジャレアル)と、欧州の戦いを熟知した名将たちが指揮をとるチームが残りましたね。力を持っているだけでなく、彼らはインテンシティの高さも兼ね備えています。いや、むしろ昨今のCLでは強度がなければ勝ち上がって来れないでしょう。残りの試合も目が離せません。
そこで今回は、この中から悲願の欧州制覇を目指すマンチェスター・シティについて、少しお話ししたいと思います。近年はたびたび優勝候補に挙げられるも、昨季の準優勝を筆頭に、惜しいところで涙をのんできたシティ。安定した強さが求められるリーグ戦とは違い、CLではここぞという場面での力が求められます。そのため、美しいサッカーを見せる反面、窮地に陥った際のパワーや勝負強さなどの物足りなさが露呈し、決勝ラウンドでは苦しめられてきました。
今季のシティも、プレミアリーグ連覇へ向けてリーグ戦では首位を走っていますし、ビッグイヤーを手にするだけの力があるのは間違いないです。一方で、昨夏に加入し、チームの10番を背負うこととなったグリーリッシュは思いのほかチームへのフィットに苦しんでいるようで、以前から取り上げられてきた完全なストライカータイプの不在問題自体はいまだに解決できていないかもしれません。しかし、今季は前線でさまざまな選手を組み合わせることで多彩な攻撃スタイルを見せていますし、彼らにはFW不在問題を補えるだけの、昨季まで以上に磨き上げた戦術があります。今や、完全なストライカータイプの不在は問題ではないかもしれませんね。
そして、なんといってもそれらを実現させるペップの「マネジメント力」が素晴らしい。さまざまなシステムを使い分け、選手たちをうまくローテーションしながら戦う。違う選手が出てきて違う色が出るだとか、基本的な戦術はあるけどそこに個が加わって形にとらわれないシーンも見られ、今季はこれまでとちょっと違うかなと思っています。実際、近年はインテンシティが高いクラブに苦戦を強いられる傾向にあったシティですが、多彩な顔を見せながら今大会の準々決勝ではアトレティコ・マドリード相手に接戦をモノにしました。しかも、その間にリヴァプール戦が2試合も組まれている超過密日程間での勝利でしたからね。リーグ戦とは違って交代枠も3枚から5枚まで増えますし、ペップの手腕はCL優勝を目指す上で間違いなく重要となってくるでしょう。