[水沼貴史]レアル戦のシティは“センターラインの2枚”が重要 ビッグイヤーに向け鍵を握るペップの「マネジメント力」

水沼貴史の欧蹴爛漫066

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今季こそペップはシティを欧州制覇へと導くことができるか photo/Getty Images

FW不在問題を補えるだけの多彩な攻撃スタイル

水沼貴史です。今季も熱き戦いが繰り広げられているチャンピオンズリーグですが、準決勝と決勝を残すのみとなりました。ベスト4に勝ち進んだチームは、マンチェスター・シティ、リヴァプール、レアル・マドリード、ビジャレアル。プレミアリーグとリーガ・エスパニョーラのクラブが2つずつです。ジョゼップ・グアルディオラ(シティ)、ユルゲン・クロップ(リヴァプール)、カルロ・アンチェロッティ(レアル)ウナイ・エメリ(ビジャレアル)と、欧州の戦いを熟知した名将たちが指揮をとるチームが残りましたね。力を持っているだけでなく、彼らはインテンシティの高さも兼ね備えています。いや、むしろ昨今のCLでは強度がなければ勝ち上がって来れないでしょう。残りの試合も目が離せません。

そこで今回は、この中から悲願の欧州制覇を目指すマンチェスター・シティについて、少しお話ししたいと思います。近年はたびたび優勝候補に挙げられるも、昨季の準優勝を筆頭に、惜しいところで涙をのんできたシティ。安定した強さが求められるリーグ戦とは違い、CLではここぞという場面での力が求められます。そのため、美しいサッカーを見せる反面、窮地に陥った際のパワーや勝負強さなどの物足りなさが露呈し、決勝ラウンドでは苦しめられてきました。

今季のシティも、プレミアリーグ連覇へ向けてリーグ戦では首位を走っていますし、ビッグイヤーを手にするだけの力があるのは間違いないです。一方で、昨夏に加入し、チームの10番を背負うこととなったグリーリッシュは思いのほかチームへのフィットに苦しんでいるようで、以前から取り上げられてきた完全なストライカータイプの不在問題自体はいまだに解決できていないかもしれません。しかし、今季は前線でさまざまな選手を組み合わせることで多彩な攻撃スタイルを見せていますし、彼らにはFW不在問題を補えるだけの、昨季まで以上に磨き上げた戦術があります。今や、完全なストライカータイプの不在は問題ではないかもしれませんね。

そして、なんといってもそれらを実現させるペップの「マネジメント力」が素晴らしい。さまざまなシステムを使い分け、選手たちをうまくローテーションしながら戦う。違う選手が出てきて違う色が出るだとか、基本的な戦術はあるけどそこに個が加わって形にとらわれないシーンも見られ、今季はこれまでとちょっと違うかなと思っています。実際、近年はインテンシティが高いクラブに苦戦を強いられる傾向にあったシティですが、多彩な顔を見せながら今大会の準々決勝ではアトレティコ・マドリード相手に接戦をモノにしました。しかも、その間にリヴァプール戦が2試合も組まれている超過密日程間での勝利でしたからね。リーグ戦とは違って交代枠も3枚から5枚まで増えますし、ペップの手腕はCL優勝を目指す上で間違いなく重要となってくるでしょう。

レアル戦でキーマンとなるかもしれないデ・ブライネ photo/Getty Images

レアル戦のキーは中央の2枚

そんな中で迎える準決勝のレアル・マドリード戦。先日のエル・クラシコではバルセロナを相手に大敗を喫したレアルですが、その後は大崩れせず。相手に先手を奪われたり、窮地に陥る試合もありますが、その劣勢を跳ね除けるだけの力を見せています。やはりシティにとっても難しい相手でしょう。

私がこの試合でキーと見ているのが、センターラインの2枚([4-2-3-1]ならトップ下とセンターフォワード、[4-3-3]ならインサイドハーフの2名)です。デ・ブライネやB・シウバ、ギュンドアン、フォーデンなど誰が入るかはわかりませんが、入った選手たちがレアルを相手にしっかりそれぞれの形を作れるのかが重要です。もちろん、相手を分析はすると思いますが、このクラスの戦いになると相手に合わせるというよりは、戦い方は自分たち次第です。引きこもって攻めるというようなカウンターとは違いますが、スペースができた際の素早い攻めが売りでもあるシティ。起用される選手によってスタイルに違いはあれど、この素早い攻めのベースは変わりません。そのため、どんな起用であれどそれらを司るセンターラインは重要で、試合が動くポイントとなりそうです。

一方で、今のレアルはカウンターが強力です。今季公式戦40試合に出場して39ゴール、準々決勝のチェルシー戦でも2戦合計4ゴールと、ベンゼマの勢いが止まりません。プレミアリーグ最小失点を誇るシティにとっても彼を止めるのは簡単なことではないでしょう。ただそんな中で、ハムストリングの怪我で離脱していたDFルベン・ディアスの復帰は、シティにとってこれ以上ない朗報。彼がいる、いないではサイドバックの形も変わってくるでしょうし、守備面での安定度も大きく変わってくるでしょうからね。ルベン・ディアスを中心にレアルの破壊力抜群のカウンターを止められるかが大事。うまく止めることができれば、シティは自分たちのペースで試合運びを行うことができると思います。

お互い形は違えど、スピードのある攻撃が魅力。初優勝を狙うシティ、3連覇以降はやや苦しい戦いも多かったレアルと、ここまでくるとそれぞれさまざまな思惑があるでしょうが、私としては睨み合いにはなってほしくない。非常にスリリングでスペクタクルな試合、両チームの激しい打ち合いが希望です(笑)。

それでは、また次回お会いしましょう!

※日程(日本時間)

CL準決勝・1stレグ 4月26日 28:00 マンチェスター・シティ×レアル・マドリード
EL準決勝・2ndレグ 5月3日 28:00 レアル・マドリード×マンチェスター・シティ

水沼貴史(みずぬま たかし):サッカー解説者/元日本代表。Jリーグ開幕(1993年)以降、横浜マリノスのベテランとしてチームを牽引し、1995年に現役引退。引退後は解説者やコメンテーターとして活躍する一方、青少年へのサッカーの普及にも携わる。近年はサッカーやスポーツを通じてのコミュニケーションや、親子や家族の絆をテーマにしたイベントや教室に積極的に参加。YouTubeチャンネル『蹴球メガネーズ』などを通じ、幅広い年代層の人々にサッカーの魅力を伝えている

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