ウイング起用は得策じゃない シティを勝利に導いたポルトガルの小さな巨人の適正ポジションとは

インサイドハーフで運動量を生かすスタイルがベルナルド・シウバに合っている photo/Getty images

難しい試合を勝ち切った

プレミアリーグ第27節エヴァートン対マンチェスター・シティの一戦が行われ、0-1でシティが勝利を収めている。前節はトッテナムに敗れており、ここで再び敗戦となれば2位リヴァプールに追いつかれてしまう可能性があったが、フィル・フォーデンのゴールで勝ち越しに成功している。

ポゼッション率68%、枠内シュート数8本とスタッツだけを見れば圧倒したゲームだと考えられるが、実際はエヴァートンの堅守に苦しめられた。守備時はドニー・ファン・デ・ベークが最終ラインに吸収される[5-4-1]となるエヴァートンにスペースを消され、内側もボールを供給することができなかった。ジョンジョー・ケニー、シェイマス・コールマンの両サイドバックのタイトな守備も見事であり、左のラヒーム・スターリング、右のベルナルド・シウバは満足に仕事ができていない。

状況を変えたのはウイングで苦しんでいたシウバだった。イルカイ・ギュンドアンが下がったことでインサイドハーフに入ると、この試合少なかったフリーランで相手の守備陣をかく乱。最後は彼のクロスをフォーデンが押し込み、試合を決めている。

ウイング、偽9番、インサイドハーフと複数ポジションでプレイできるシウバだが、少なくともウイングでは機能しなくなっている。ドリブルでの突破力がないわけではないが、シティ相手にはエヴァートンのように5バックを敷くチームは珍しくない。そうなればドリブルでの打開をする際に一人ではなく、少なくとも二人以上を相手にする必要があり、準備万端で構えられてしまえばシウバの突破力ではかなわない。そのため、サイドでボールを受けても仕掛けられず横パスやバックパスが増え、攻撃が停滞してしまっていた。また、ウイングをオーバーラップなどで援護する右サイドバックもシティでは下がり目のポジションを取ることが多く、そういったチームの状況もこの日のシウバを難しくさせていた。

偽9番も悪くないが、やはり彼のシティでの適正はインサイドハーフだ。攻撃を活性化させていたスペースに動くフリーランもそうだが、走力は今のシティでトップクラスのものを持っており、複数の局面に顔を出して攻守に安定感をもたらしている。敗戦となったスパーズ戦も彼は最前線におり、ジョゼップ・グアルディオラは彼の起用方法を今後再検討するべきだといえる。

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