ユヴェントスの下部組織が生んだ天才肌のアタッカーだったのか、それとも過大評価だったのか。35歳を迎えたイタリア人FWセバスティアン・ジョビンコは評価の難しい選手だ。
世代別イタリア代表にも順調に選ばれていたジョビンコは2006年にユヴェントスのトップチームでデビューを経験し、2011-12シーズンにはレンタル移籍していたパルマでセリエA15得点をマーク。このパルマへのレンタルで選手として一歩上のステージへ進んだようにも見えた。
しかし、ユヴェントスの壁は厚い。戻った2012-13シーズンこそリーグ戦で7得点を奪ったが、2013-14シーズンは出番が減ってしまった。当時はカルロス・テベス、フェルナンド・ジョレンテ、ファビオ・クアリアレッラ、さらにはアルバロ・モラタまで加わり、出番は大幅に減少してしまった。
この時まだ27歳だったのだが、ここでジョビンコはアメリカ・MLSのトロントFCへ向かうことを選択する。20代半ばだったことを考えると、欧州を離れるには早すぎたのかもしれない。MLSのDFたちはジョビンコを止められず、1年目からジョビンコはMLSの得点王、アシスト王、MVPを獲得。アメリカで大成功することになった。
その後はサウジアラビアのアル・ヒラルでもプレイし、アジアチャンピオンズリーグ制覇も経験。そして今冬、ジョビンコは35歳にしてサンプドリアの一員としてセリエAの舞台へ戻ってくることになった。最後にセリエAで得点を決めたのは2014年4月のことになっており、16位と苦しむサンプドリアで約8年ぶりとなるセリエAでのゴールが求められているのだ。
結局セリエAではパルマ時代の2011-12シーズンしか二桁得点を記録できず、イタリア国内に限れば消化不良なキャリアだったと言っていい。イタリア代表でも23試合プレイしたが、奪った得点は2013年のコンフェデレーションズ杯・日本戦で決めた1点のみ。やはりMLSへ向かったことから代表招集の機会は減ってしまい、代表を早々に離れる結果になったのも残念だった。
今冬加わったサンプドリアは残留争いに巻き込まれているが、様々な経験を積んできたジョビンコはチームを救えるのか。そして自身の才能が5大リーグでも通用することを改めて証明してみせるのか。8年の歳月を経て、ジョビンコの新たな挑戦が始まる。