強豪への道進むアメリカから消えた“プリシッチ依存” カタールで見たい驚異の若手軍団

アメリカ代表を引っ張り続けるプリシッチ photo/Getty Images

もうプリシッチだけがスターではない

ワールドカップ・カタール大会に向けた北中米カリブ海予選では首位を走るカナダ代表の快進撃にばかり注目が集まっているが、2位につけるアメリカ代表も称賛されるべきだろう。

アメリカサッカー界はMLSの発展もあって実力を伸ばしていたが、前回のロシア大会には出場できなかった。北中米カリブ海予選の最終ラウンドでホンジュラス、パナマ、コスタリカ、メキシコに次ぐ5位に沈んでしまい、予選を突破できなかったのだ。

しかし、もう4年前とは違う。印象的なのは、近年のアメリカを代表するスタープレイヤーとなっていたチェルシー所属FWクリスティアン・プリシッチの言葉だ。
「僕はずっと特大のパフォーマンスを見せ、どうにかチームを救う必要があると考えてきた。でも、今はその必要もない。僕たちは強いチームだからね」(米『ESPN』より)。

プリシッチの言葉は正しいだろう。前回のロシア大会出場を懸けた北中米カリブ海予選の最終ラウンドにおいて、プリシッチは全チーム通じて最多となる5得点を記録していた。それでもアメリカは予選を通過できなかったのだが、今のチームはプリシッチが爆発せずとも安定して勝ち点を伸ばせている。

4年前からはFWクリント・デンプシー、ボビー・ウッド、ジョジー・アルティドール、MFマイケル・ブラッドリー、グラハム・ズシといった選手たちがチームを去り、今は欧州トップクラブで活躍するFWリカルド・ペピ(アウグスブルク)、MFブレンデン・アーロンソン(ザルツブルク)、MFウェストン・マッケニー(ユヴェントス)、タイラー・アダムス(ライプツィヒ)、DFセルジーニョ・デスト(バルセロナ)といった若手が台頭。4年前からはガラリと面子が変わっている。

肝心のプリシッチがチェルシーでやや苦戦しているところがあり、これはアメリカ代表にとってはネガティブな要素だったはず。しかし、今のチームはプリシッチに依存していない。プリシッチが不在だった昨年10月のコスタリカ戦、プリシッチが先発しなかった昨年11月のメキシコ戦でもきっちり勝利を収めており、カタール行きへの道は見えてきている(メキシコ戦では途中出場からプリシッチも得点を記録)。

ロシア大会に出場できなかったカナダとアメリカが現在の最終ラウンドで1位、2位となっているのは特長的で、この4年で北中米カリブ海の戦力図が変わりつつある証と言える。アメリカも楽しみな若手を多数抱えた国となっており、カナダと合わせてカタールの地で旋風を巻き起こすだけの力は備えている。

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