ナポリの美しき遅攻は今すぐ見るべき “配球の要”不在のなか見出した攻撃パターン

サレルニターナ戦で、2ボランチの一角として出場したロボツカ photo/Getty Images

サレルニターナを圧倒

23日に行われたセリエA第23節で、サレルニターナに4-1で勝利したナポリ。

17分に、MFエリフ・エルマスの胸によるパスを受けたDFファン・ジェズスが先制ゴールを挙げたほか、1-1のタイスコアで迎えた前半アディショナルタイムには、エルマスが敵陣ペナルティエリアで相手DFフレデリック・ヴェセリに倒され、PKを獲得。

このチャンスをFWドリース・メルテンスが物にし、1点リードで前半を終えた。
47分には、コーナーキックからの2次攻撃でメルテンスがクロスを送り、このボールに反応したDFアミル・ラフマニが追加点をゲット。後半開始前に投入されたFWロレンツォ・インシーニェも、53分にPKを成功させ、勝利を決定づけた。

ナポリの勝因は、攻撃時の隊形変化のパターンが多彩だったこと。

基本布陣[4-2-3-1]の2ボランチ、ファビアン・ルイスとスタニスラフ・ロボツカが2センターバック間やセンターバックとサイドバックの間へ降り、ビルドアップの起点に。自陣後方でパスを捌いた直後の攻め上がりも素早く、敵陣でのパスワークにおいてもアクセントとなっていた。

2ボランチと共にビルドアップを活性化させたのが、左サイドバックのマリオ・ルイ。

タッチライン際を走るだけでなく、ボランチの脇やハーフスペース(ペナルティエリアの両脇を含む、左右の内側のレーン)にポジションをとる“偽サイドバック”の役割も全う。

同選手が自陣中央でボールを受けると同時に、2ボランチのどちらかが敵陣に攻め上がるという約束事も徹底されていた。

ナポリの多彩な隊形変化に対応できず、ボールの奪いどころを定めきれなかったサレルニターナは、自陣後方への撤退を余儀なくされることに。

前半の途中に、布陣を[4-1-4-1]から[5-3-2]に変えて自陣ペナルティエリア手前のスペースを埋めにかかったが、ナポリのセンターFWメルテンスが相手最終ラインと中盤の間へ降り、相手センターバックやMFを引きつける“偽9番”の役割を完遂。これにより、サレルニターナの守備隊形が崩壊した。

セネガル代表のDFカリドゥ・クリバリと、カメルーン代表のMFアンドレ・フランク・ザンボ・アンギサが、アフリカ・ネイションズカップに出場中。

ビルドアップの柱となっていた両選手を欠いての一戦で、ナポリは美しい遅攻を披露し、同リーグ3連勝を飾っている。

昨夏に赴任したルチアーノ・スパレッティ監督のもとで変幻自在なビルドアップを身につけ、首位インテルとの勝ち点差“4”の2位につけているナポリの試合は、一見の価値ありだ。

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