今夏の東京五輪でグループステージ敗退に終わったフランス代表のことを覚えているだろうか。残念ながら世代を代表する実力者を招集することが出来ず、日本代表にも0-4で粉砕されるなど残念な結果に終わってしまった。誰が招集されていたのか忘れている人も多いだろう。
しかし、今夏の東京五輪が非常に特別なものだったと振り返る者もいる。オーバーエイジ枠でフランス代表に参加していたモンペリエ所属の30歳MFテジ・サヴァニエである。
おそらくサヴァニエのことを覚えている人は少ないだろう。これまでニームやモンペリエなどフランス国内で長くプレイしてきたが、A代表での出場歴はゼロ。スター選手が揃うフランスサッカー界において、サヴァニエは決してエリートとは呼べないタイプだ。
だが、今季のリーグ・アンではサヴァニエに注目が集まっている。攻撃的MFとしてキャプテンマークを巻くサヴァニエは、実はかなり高精度の右足を持つフリーキッカーなのだ。
今季リーグ戦では5得点挙げているが、そのうち3点が直接フリーキックによるものだ。中でも衝撃だったのは、12月のメス戦で決めた一撃だ。
右サイド深い位置でフリーキックを得たサヴァニエは、不規則に変化する無回転ショットをファーサイドへ炸裂させたのだ。まるでリヨンで活躍した元ブラジル代表MFジュニーニョ・ペルナンブカーノのフリーキックを見ているかのようで、GKも直接狙ってくるとは予想していなかっただろう。
仏『RMC Sport』によると、サヴァニエは来年のワールドカップに参加したいと野心を口にしている。惨敗だったとはいえ、今夏の五輪で代表のシャツに袖を通せたことは特別な経験だったようだ。
「僕は嘘をつかないよ。代表は子供の頃からの夢で、五輪でプレイできたのは僕にとって大きなことだったんだ。夢はワールドカップだよ。もちろん、フランス代表はビッグクラブでプレイする選手ばかり揃っていることは分かっているんだけどね」
高精度の右足は代表監督ディディエ・デシャンの目に留まっているだろうか。圧倒的なスピードやサイズはなくとも、セットプレイを武器にする選手がいてもいいはずだ。サヴァニエはモンペリエでアピールを続け、ワールドカップへの切符を掴む考えだ。