30ゴールで“3冠”にも貢献したのに…… アルゼンチンで過小評価されすぎているFWのキャリア

インテルに3冠もたらしたミリート photo/Getty Images

代表では優秀すぎる後輩に囲まれた

アルゼンチンはワールドクラスのアタッカーを次々と輩出してきたが、ライバルが多すぎるせいか正しい評価を得ていないプレイヤーもいる。

かつてインテルで3冠に貢献したFWディエゴ・ミリートもその1人ではないだろうか。ゴール前での動き出しや得点力など、ミリートは間違いなくワールドクラスのストライカーだった。しかし不運だったのは、優秀すぎる後輩たちがいたことだ。

アルゼンチン代表にも召集はされていたが、当時はリオネル・メッシ、カルロス・テベス、ゴンサロ・イグアイン、セルヒオ・アグエロなど、自身より若い実力者が勢揃いしていた。インテルで3冠を達成したものの、代表の方ではレギュラーになれなかった。
2010年のワールドカップ・南アフリカ大会でもスタメンには入れず、決勝トーナメントもベンチから見守るのみ。テベスやアグエロ、イグアインといったライバルがいなければアルゼンチン代表でもセンターフォワード1番手だったはずだが、3冠まで達成したFWが代表通算25試合、合計1157分しかプレイ出来なかったというのは少々寂しい。

また、3冠を達成した2009-10シーズンはバロンドールでもあまり注目されなかった。2010年のワールドカップで準優勝だったことも関係しているが、当時バロンドール関連で話題を呼んだのはインテルでチームメイトだった元オランダ代表MFウェズレイ・スナイデルの方だ。

2010年のバロンドールはリオネル・メッシが受賞しており、2位はアンドレス・イニエスタ、3位シャビ・エルナンデスとなっている。バルセロナ組がトップ3を占めることになり、3冠を達成したインテルの選手は4位のウェズレイ ・スナイデルが最高位。同じインテルでもミリートはトップ10にも入らなかった。当時のミリートがインテルで52戦30ゴール8アシストの成績を残したにも関わらずだ。

英『GIVE ME SPORT』によると、当時インテルで一緒にプレイしていたMFエステバン・カンビアッソはバロンドールについて次のように振り返っている。

「2010年から、こうした個人賞を信じるのはやめたんだ。ミリートが30人のノミネートからも外れたと分かった時、こうした賞が分からなくなったんだよ」

3冠達成の原動力になったにも関わらず、ミリートの評価や人気は思うほど伸びなかった印象だ。代表で怪物クラスの後輩と一緒になったことも少々運が悪く、ミリートは当時の世代で最も過小評価されているアルゼンチン人ストライカーと言ってもいいだろう。

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