開幕当初のどこか頼りない雰囲気はもう消えた “万能DF”へと進化を遂げた大南拓磨

今季はSBのポジションもこなしている柏の大南 photo/Getty Images

SBで存在感放ち始めた23歳

2021年シーズン、開幕からしばらくの間はどこか頼りない印象も強い“不安定なセンターバック”という印象も強かった。しかし、時間が進むにつれて、彼はいつの間にかチームに欠かせない存在となってきている。新たなポジションを任され始めたこともあって、大きな成長の予感を漂わせる柏レイソルの23歳。DF大南拓磨だ。

開幕当初はDF上島拓巳とのCBコンビで出場を重ねるも、守備面でどうしても不安定な部分を垣間見せていた大南。身体能力は高いのだが、なかなかその強みを活かしきれていない。チームの負けが込むなかで、そんなことを感じていたファンも多かったことだろう。

しかし、そんな大南は今季途中からネルシーニョ監督に新たな活躍の場を与えられ、めざましい成長を遂げている。その新たな活躍の場とは、右サイドバック。7日に行われた明治安田生命J1リーグ第35節のセレッソ大阪戦にも同ポジションで先発を果たした大南は、86分に果敢な攻め上がりから値千金の決勝点を記録。以前は果敢にオーバーラップしても味方との呼吸が合わずに単騎での突破を図ることとなってしまう場面も散見された同選手だが、このシーンでは周囲の状況を確認しながらタイミングよく飛び出して大仕事をやってのけた。味方が作ってくれた中央のスペースへと侵入する動きもスムーズで、次第にさまざまな役割をこなせる万能SBとなってきた印象は強い。
加えて、大南がSBの仕事をこなせるようになってきたことで、柏には採用する戦術の幅も増えた。同クラブは試合中に4バックと3バックのシステムを変更することも少なくないが、そのなかでサイドと中央の両ポジションをこなせる大南がいるのは非常に便利。反対サイドで似たようなタスクを任せることができる古賀太陽と併せて、彼らは最終ラインをどのような形にもできる柔軟なパーツとしてネルシーニョ監督に重宝されていると言っていい。

以前までは“未完の大器”というイメージもあった大南だが、2021年シーズンは大きな成長を遂げることとなっている。今季の柏はこのC大阪戦でようやく残留を決める苦しいシーズンとなったが、そのなかでも大南が順調に伸びたのは間違いなく大きな収穫だ。これからも、大南が見せるアグレッシブなプレイからは目が離せない。

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