アルテタが大博打に出た!? 大成功へ導いた冨安のユーティリティ性

ベンチに下がった際、冨安を称えるアルテタ photo/Getty Images

不慣れな“偽サイドバック”をこなす

11日にプレミアリーグ第4節が行われ、開幕3連敗中のアーセナルとノリッジが対戦。不調チーム同士の激突となったが、FWピエール・エメリク・オバメヤンのゴールでスコアを1-0としたホームのアーセナルが、リーグ戦で今季初白星を手にした。

開幕戦で昇格組のブレントフォードに0-2で敗れると、第2節(チェルシー)、第3節(マンチェスター・シティ)と続いた強敵との連戦にも敗れてまさかの3連敗。さらに、この間のゴール数は「0」と、アーセナルは今季、低迷を強いられている近年の中でも最悪のスタートを切ることとなってしまった。その結果、早くもミケル・アルテタ監督の解任論が騒がれている。

そんな中で迎えたノリッジ戦。結果次第では、試合後に即解任もあったのではないか。自身のクビがかかっていると言っても過言ではないこの運命の一戦で、アルテタはチームトレーニングを“たった1日半”しか行っていない新戦力の日本代表DF冨安健洋をいきなりスタメンに抜擢。大博打とも思える采配に出る。冨安は今夏の移籍市場のリミットギリギリに加入し、すぐさまチームを離れて日本代表に合流。チームでの実働がほとんどないことに加えて、代表活動や長距離移動による疲労も懸念されているにも関わらず、右サイドバックを任せた。

もちろん、これはアルテタの冨安への信頼や期待の大きさの表れでもあるが、このような状況下の選手をスタメン起用する監督はあまり多くないはずだ。しかし、このアルテタの博打が見事に大成功。得点に直接関与したわけではないが、冨安はデビュー戦となったノリッジ戦で“ぶっつけ本番”とは思えないような素晴らしいパフォーマンスを披露し、指揮官の期待に応えてみせる。62分までのプレイではあったが、近年はアーセナルのウィークポイントと言われてきた右サイドに、攻守の両面で安定感をもたらしていた。

特に素晴らしかったのが、イタリアでも披露していたそのユーティリティ性。確かに冨安はサイドバックとしての才能を開花させたボローニャでも、類稀なるセンスや高い技術で攻撃面でも存在感を発揮することが多々あった。ただ、この試合ではこまれでのようなタッチライン際での上下運動やそこからのクロスといったサイドバックとしての基本的な役割だけでなく、ハーフスペースやバイタルエリアにポジションを取り、攻撃を組み立てるシーンが幾度となく見られた。

おそらくプレミアリーグで流行りつつある“偽サイドバック”としての役割を、アルテタは冨安に課していたに違いない。もともとビルドアップに定評のある冨安だが、つい最近までほぼCBのみでプレイしてきた彼にとって、もちろん“偽サイドバック”を任される経験はあまりなかっただろう。しかし、ユーティリティ性を遺憾無く発揮し、この不慣れなタスクをこなしてみせたのだ。

試合後にアルテタも冨安に関して「とてもポジティブな内容だった。役割をよく理解してくれていたし、本当に素晴らしかったと思う」と賛辞を贈っていたが、ほとんど準備ができていない中でのデビュー戦としては、最高の出来だったのではないか。アルテタが打った大博打は、どうやら大成功だったと言って良さそうだ。

期待に応えた冨安もさすがだが、自身の去就に関わるこの大一番で、自身が目に留めた才能を信じてデビュー戦の選手の未開拓な部分にもかけることができる。解任目前とも言われるが、アルテタの勝負勘や指揮官としての目も、まだまだ捨てたものではないかもしれない。3連敗を喫したといえ、シーズン通して見ればたった38分の3で、まだまだ戦いは始まったばかり。冨安という新たなピースを手に入れたこの指揮官は、ノリッジ戦で手にした初勝利から仕切り直し、チームを浮上させることができるのか。

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