18年ぶり“開幕ベンチ”のロナウド それはユーヴェにとってポジティブなことだ

開幕戦では59分からピッチに立ったロナウド photo/Getty Images

ロナウド本人と話し合いの末の決断

ユヴェントスは22日、セリエA開幕節でウディネーゼと対戦した。10番を背負うFWパウロ・ディバラの1ゴール1アシストの活躍もあり、前半を2点リードして折り返したが、PK献上などで後半にまさかの2失点。2-2のドローで試合終了のホイッスルを迎え、白星発進を決めることができなかった。

復活が期待されるディバラの好調さ、後半半ばからDFダニーロを中盤の底で起用したこと、安定感を売りとしてきたGKヴォイチェフ・シュチェスニーの信じられないようなミスなど……。この試合におけるユヴェントスの気になるトピックはさまざまある。ただ、最もファンを驚かせたのは、「ロナウドのベンチスタート」ではないか。

昨季はチームが10連覇を逃す難しい状況ではあったが、個人としては初のセリエA得点王に輝いていたFWクリスティアーノ・ロナウド。昨季最終節に続いて今季開幕戦もベンチスタートとなったが、ロナウドが2試合連続でベンチスタートになったのは、2018年夏にユヴェントスへ加入して以降、初めての出来事。また、負傷などによる欠場はこれまでも何回かあったが、リーグ開幕戦でロナウドがベンチスタートとなったのは、当時はまだ10代だったマンチェスター・ユナイテッド1年目の2003-04シーズン以来、18年ぶりというから驚きだ。
ベンチスタートの背景には、今夏も噂されている「移籍」に関する影響があったのか。伊『sky sport』といった一部のメディアは、「今夏の退団を望んでいるロナウドからの明確な要求」と報道している。一方で、パベル・ネドヴェド副会長は『DAZN』のインタビューで「何もないところにセンセーショナルな物語を作ろうとしてはいけない。それ(ロナウドのベンチスタート)は選手本人と一緒に決めたことだ。彼はまだ最高のコンディションではない。監督は最高のラインナップを揃えようとしているからね。ロナウドは今季もユヴェントスに留まるのは間違いないよ」と移籍話を一蹴。まだまだ様々な情報が錯綜している状況だ。

ただ、前半のクーリング・ブレイクの際にMFフェデリコ・ベルナルデスキへ全身を使ってアドバイスを送ったり、熱く語りかけているシーンがカメラに捉えられていたが、1週間ちょっと以内にチームを去ろうとしてる選手がこのようなことをするとも思えない。惜しくもVARによるオフサイドの判定で認められることはなかったが、退団を望んでいる選手がゴールネットを揺らした際にあれほど喜びを爆発させるだろうか。

否だと思う。前回の就任時もそうだったが、マッシミリアーノ・アッレグリ監督はもともとコンディションを重視するタイプ。昨季後半戦や今夏のEUROで、あれだけの活躍を見せたFWフェデリコ・キエーザもベンチスタートだったことから見ても、それはわかるはずだ。

また、ネドヴェド副会長と同様にアッレグリ監督も試合後、「ロナウドは元気だ。試合前に彼と話し合い、私はベンチスタートにすることを決めた」と明かしていた。ロナウドクラスの選手ともなれば、スタメンから外すことに対して抵抗がある監督もいるだろう。しかし、アッレグリはそうではなかった。今夏の復帰にあたって、「ロナウドさえも特別扱いしない」ととれるような意向を明かしていたが、早速それを実行して見せたのだ。

こういった状況を見るに、ロナウドの開幕戦ベンチスタートは指揮官がこのスーパースターをうまくコントロールできていることを意味し、むしろ王座奪還を目指すチームにとってはポジティブなことだったのではないか。常に意識が高く、“トレーニングの鬼”であるロナウドが悔しさを味わい、奮起することで、チームにさらなる競争心をもたらすことにもつながるかもしれない。ドロー発進となってしまったが、シーズンは始まったばかり。ユヴェントス、そしてロナウドの今後の活躍に目が離せない。

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