既存戦力の成長があればいいが
EURO2020やコパ・アメリカといったオフシーズンに行われた国際大会の影響から複数名の主力選手がベンチスタートとなったマンチェスター・シティの開幕戦。強豪トッテナム相手に序盤は何度もチャンスを作っていたが決めきれず、後半にはソン・フンミンにゴールを許し、黒星スタートとなった。
残り10分となった段階で痺れを切らしたジョゼップ・グアルディオラはケビン・デ・ブライネとオレクサンドル・ジンチェンコを投入。デ・ブライネはいきなりクロスから好機を演出するなど、格の違いを見せた。ジンチェンコもポジショニングや安定感のあるパス回しを見せ、左サイドを活性化させていた。スタートから彼らのコンビを見たかったが、国際大会での疲労を考慮したうえでのベンチスタートだろう。長いシーズンを戦うには、こういった判断が重要となるが、それ以上に控え組の実力も必要となってくる。
スパーズ戦は最終ラインのジョアン・カンセロ、ネイサン・アケ、バンジャマン・メンディ、前線ではフェラン・トーレス、ラヒーム・スターリングが昨季の控え組の位置付けであった。彼らの活躍が戦力の底上げとなり、選手層の厚さを生むのだが、開幕戦のクオリティを見る限り少し、厳しいか。
スターリングはイングランド代表での活躍から期待されていたが、対峙するジャフェット・タンガンガに手も足も出ずボールロストを繰り返していた。メンデイも出し手としてクロスや縦パスなど良い配球役となっていたが、継続して良さは見せられていない。アケに関しても、ジョン・ストーンズ、アイメリック・ラポルトらと比べ、ビルドアップ時の貢献は低く、スパーズのブロックを崩せないでいた。カンセロは及第点のパフォーマンスだったが、昨季の「カンセロ・ロール」のインパクトと比べると違いを作れないのが物足りないか。
このように控え組を中心とするとクオリティ不足となるプレミア王者。クラブとしては今夏のハリー・ケインの獲得を目指しており、彼の獲得が決まれば他のポジションの補強はなくなるだろう。
既存戦力の奮闘が求められる今シーズン。昨季のフィル・フォーデンのように成長を見せられる選手はいるのか。今後の活躍に期待したい。