かつてインテルで活躍した元アルゼンチン代表DFハビエル・サネッティといえば、そのときのチーム事情に合わせてあらゆるポジションをハイレベルにこなした選手だった。左右のサイドバックや中盤セントラルを中心として、時には右サイドハーフの位置も務めたことを覚えているファンは多いだろう。まさにユーティリティプレイヤーと呼ぶにふさわしい存在だった。
そんなサネッティがピッチを去ってから6年半の時が経過した今、サッカー界には彼によく似たプレイスタイルを披露する選手が出現している。プレミアリーグのリーズ・ユナイテッドに所属する北アイルランド代表DFスチュアート・ダラス(30)だ。
昇格組ながら現時点で10位に食らいついているリーズにあって、ダラスが果たしている役割は相当に大きい。サッカー界屈指の戦術家として知られるビエルサ監督の緻密なゲームプランに沿って、同選手は試合ごとにさまざまなポジションを任されている。本職はサイドバックだが、守備的MFや攻撃的な中盤までそつなくこなすユーティリティ性能はリーグ屈指と言っていいだろう。それぞれのポジションで託されたタスクを完璧にこなす戦術理解度の高さも魅力的。国籍や活躍するリーグこそ違えど、そのスタイルはまさに“現代版サネッティ”といっても過言ではないはずだ。
「アルゼンチンで指揮官としてのキャリアを始めたニューウェルズ時代、私はサネッティ(当時はCAバンフィエルド所属)のプレイを間近で見ていた。それから、ニューウェルズにもフリオ・サルダーニャという優秀なサイドバックがいたんだ。本当に使い勝手が良い選手という意味で、ダラスはその二人によく似ていると思うよ。どこでも一定のパフォーマンスを披露するし、両足で遜色ない精度のキックも持っている。守備ではどこまでも走ってくれるし、攻撃ではチームのリズムを変える。たった1人でそこまでできる選手というのはそういない。今季のリーズでは、間違いなく最高の1人だよ」(英『Daily Mail』より)
リーズの指揮を執るマルセロ・ビエルサ監督も、ダラスはサネッティを思い出させるとこのように語る。アルゼンチンのレジェンドほど世界的な知名度はないものの、ダラスの存在価値はプレミアでも屈指のレベルにあると言っていいか。
現地時間10日に行われたプレミア第31節のマンチェスター・シティ戦(2-1)でも、インサイドハーフに入って2得点の大活躍を披露したダラス。ビエルサ監督の下で魅力的なサッカーを披露するリーズにおいて、この万能戦士はかけがえのない存在となっている。