“マッシモ流”に馴染みはじめた新戦力たち 名古屋に生まれる化学反応

名古屋は既存戦力と新戦力が一丸となり“マッシモ流”を体現する photo/Getty Images

広島相手に今季5度目の“ウノゼロ”

4月14日に行われた明治安田生命J1リーグ第19節でサンフレッチェ広島と対戦し、今季5度目となる1-0で勝利を収めた名古屋グランパス。開幕10試合を終えた段階で8勝2分けで川崎フロンターレに次ぐ2位と、絶好のスタートを切ったといえるだろう。

今季セレッソ大阪から柿谷曜一朗、川崎から齋藤学など大型補強を敢行した名古屋だが、基本的な戦いは3位に入った去年の流れをそのまま踏襲。マッシモ・フィッカデンティの信条とする最少失点を守り切るサッカーに磨きがかかりつつある。

柿谷、齋藤といった攻撃で違いを生み出してきた元日本代表のタレントたちも、イタリア人指揮官のもとでは守備でのプレスバックなど徹底した守りの意識が植え付けられている。そのなかで彼らの持ち味である足元のキープ力やドリブルといった得意のプレイを攻撃で活かすことが求められている。
また、C大阪から獲得した木本恭生はボランチとCBをこなす守備のマルチロールとして重宝されている。終盤に守備固めとして中盤や最終ラインにはいるだけでなく、昨季フル稼働した中谷進之介を休ませるなど木本の加入で過密日程に対応するためのターンオーバーが可能になった。

浦和レッズから加入した長澤和輝も序盤は試合を締めるプレッシングの役割で起用されつつ、徐々にスタメン出場も増えるなどチームに馴染んでいる。ボランチでも米本拓司や稲垣祥とのターンオーバーや広島戦でみられた3ボランチの導入など、長澤の存在はチームとして新たな守り切る形を可能としている。

一方で、ここまで出番がないのがサガン鳥栖から獲得した森下龍矢。昨季は新人ながら33試合に出場し3ゴールを奪う活躍を見せた実力者だが、名古屋では不動の左SBである吉田豊をはじめとして、宮原和也、成瀬竣平とライバルは多い。アジアチャンピオンズリーグなど今後の過密日程においては重宝される存在となるはずだ。

フィッカデンティは大型補強で獲得した選手たちの特長を活かしつつも、あくまで求めているものは昨年の堅守を武器とした守り切るサッカー。ここまで10試合で13得点ながら失点はわずか1点。最小失点で勝ち切るという強さを新戦力にも浸透させ、選手たちがそれをピッチ上で体現している。

9試合連続無失点と圧倒的な守備力を武器としつつ、これからは今季好調で堅守を誇る鳥栖、昨季2位のガンバ大阪、そして絶対王者で圧倒的な強さを誇る川崎戦へと向かっていく。そのなかで今季新たに加わった選手たちがチームの戦い方をこなしつつ、個としてどのような化学反応をみせてくれるのかは興味深い。

開幕ダッシュに成功した名古屋において存在感を示しつつある新戦力たち。フィッカデンティ仕込みの守備意識を植え付けられた選手たちがどのような働きをみせチームに貢献してくれるのかは楽しみだ。

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