リヴァプールの歯車を狂わせた“番人”の不在 世界最高級DFの離脱が与えた影響

プレミア第5節のエヴァートン戦でファン・ダイクが負傷して以降、リヴァプールの歯車は噛み合わなくなってしまった photo/Getty Images

A・アーノルドだけではなく……

2020-21シーズンのイングランド・プレミアリーグで昨季王者が苦しんでいる。その王者とは、もちろんリヴァプールだ。2019-20シーズンは圧倒的ともいえる強さで群雄割拠のプレミアを制した同クラブだが、今季は第31節終了時点で6位に甘んじることとなっている。

その最大の原因が、主力センターバックの相次ぐ離脱だ。フィルジル・ファン・ダイク、ジョー・ゴメスといった二枚看板に加えて、その代役として期待されたジョエル・マティプも負傷。2020-21シーズン、レッズの最終ラインはまさに野戦病院と化してしまった。

なかでも、その影響が甚大だったのはファン・ダイクの離脱。規格外のパワーとスピードを兼ね備えた彼の不在は、守備面だけでなく、攻撃面でもリヴァプールに大きな打撃を与えることとなった。最終ラインからの球出し役が不在となったことで、右サイドバックを務めるトレント・アレクサンダー・アーノルドにかかる負担は増加。また、彼の攻め上がった裏のスペースを相手に突かれることも増え、攻守両面でファン・ダイクがどれほど大きな役割を担っていたか、改めて気づかされたファンも多いだろう。

A・アーノルドだけではない。GKアリソン ・ベッカーも多大な影響を受けたうちのひとりだ。昨季までは“プレミア最高級守護神”の称号をほしいままにしていた同選手だが、今季はフォームの低下が指摘されることも増えた。しかし、これもファン・ダイク不在の影響が大きく関わっていることは間違いない。

ユルゲン・クロップ監督が志向する“超ハイライン戦術”において、CBの守備範囲はキモだった。最終ラインを高く設定すれば、当然相手チームはその裏のスペースを突いてくる。たが、リヴァプールはそうした空間を守備範囲の広いファン・ダイクとアリソンの個人能力でカバーすることによって事なきを得ていた。だが、ファン・ダイクの離脱によってアリソンの担当範囲は増加することに。「自分がカバーしなければ……」。きっと、アリソンにはそういった気持ちもあったはず。そのような気負いが、アリソンに焦りを生じさせている部分もあるのだろう。

「現在のアリソンのフォーム低下については、いくつか理由がある。怪我の影響もあるだろうが、一番大きいのはフィルジルがいないということだと思うよ。彼は安定感の塊のような選手だからね。僕がリヴァプールにいた頃から、フィルジルは他の選手とまったく違う存在だった。彼が加入してから、リヴァプールの失点は大きく減少したんだ。アリソンも間違いなく、彼が不在となってしまったことの被害者だと思う」(ポッドキャスト『De Tribune』より)

2019年までリヴァプールでプレイしたGKシモン・ミニョレ(現クラブ・ブルージュ)も、アリソンに関してはこのような見解を示している。やはりA・アーノルドと同様、彼にとってもファン・ダイクの離脱は大きな痛手だったと言えそうだ。

2020-21シーズンのリヴァプールを悩ませる“番人”の不在。決して誰も悪くはないのだが、その存在感が大きすぎるがゆえにレッズの歯車は噛み合わなくなってしまっている。

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