イブラの代表復帰は必然だった ミランに続いてスウェーデン代表の立て直しへ

2016年に一度代表を引退したイブラヒモビッチ photo/Getty Images

代表復帰に先駆け、監督と決定的な仕事を約束

国を背負って戦う代表活動――。それはその国のトップクラスの選手たちが集まる選ばれし者の場所。10代で華々しく代表デビューを飾る選手もいれば、30代で初めて代表に招集される遅咲きの選手もいる。指揮官の好みやチーム方針はあるだろうが、基本的には所属クラブでの活躍や結果といった実力がものを言う世界だ。年齢は全く関係ない。しかし、人間である以上いつしか衰えは来るはずで、歳を重ねるにつれてパフォーマンスは落ちていき、次第に代表活動からは遠ざかっていく。ベテランになればなるほど、代表に呼ばれることは決して簡単なことではないだろう。

15日、スウェーデンサッカー協会が3月の代表戦へ臨む同国代表メンバーを発表。今年10月に40歳の誕生日を迎えるACミランのFWズラタン・イブラヒモビッチが、約5年ぶりに代表復帰を果たしたのだ。この発表は多くのサッカーファンを驚かせたのではないか。ただ、イブラヒモビッチは選ばれるべくして再び代表に選ばれた。


2016年6月に開催されたEURO2016を最後に、スウェーデン代表を引退していたイブラヒモビッチ。同代表がロシアW杯で予選敗退に追い込まれそうになった際など、これまでも通算116キャップ62ゴールを誇る母国の英雄の帰還が噂された。しかし、これまで復帰を匂わす本人の発言もあるにはあったが、「スウェーデン代表のことは考えていない」や「オレの代表での物語は終わったんだ」とも述べ、実現することはなかった。

そんな中、昨年行われたUEFAネイションズリーグのグループステージで、スウェーデン代表が1勝5敗と不甲斐ない結果に終わった影響もあるかもしれないが、同年11月末ごろからイブラヒモビッチの代表復帰話が一気に加速。イブラヒモビッチとスウェーデン代表のヤン・アンデション監督が会談を行ったことが取り上げられると、同監督も英雄の帰還へ向けてポジティブに捉えているようで、今後も話し合いを進めていく旨を明かしていた。

それから4ヶ月。ついにイブラヒモビッチの代表復帰が実現した。ミランで今季公式戦23試合に出場して17ゴール2アシスト、セリエAの得点ランキングで4位につけている数字から見ても、アンデション監督が復帰させたくなるのは至極当然のこと。ミランでもそうだが、ピッチ内外で周囲への影響力が計り知れないイブラヒモビッチが、再びスウェーデン代表のユニフォームを身に纏うのは妥当だろう。彼の経験や勝者のメンタリティは、間違いなくチームにとってプラスに働くはずだ。
伊『sky sport』によると、そんなイブラヒモビッチは記者会見で「オレがここにいるのは、オレの名前がズラタン・イブラヒモビッチだからなのではなく、ここにいるに相応しい選手だからだ。監督と決定的な仕事をする約束をしたが、それをピッチで証明しなければならない」などと意気込みを語った。また、今回の復帰を受けて、単身でイタリアへ渡っている同選手へ、なかなか一緒に過ごすことができていない息子たちの反応についての質問が飛ぶと、感極まり涙ぐむ意外な一面もみせている。鬼の目にも……いや“神”の目にも涙だ。


最近結果を残せていないスウェーデン代表に、母国の英雄イブラヒモビッチが活を入れる。ミランのようにチームを飛躍させることができるのか。同国代表は今回の代表ウィークで、25日にグルジア代表と、28日にコソボ代表と、31日にエストニア代表と対戦予定となっている(先に行われる2試合はW杯予選)。

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