ハリー・ケインは今季さらに進化 得点・アシスト王ダブル受賞も視野に
得点後、いつものパフォーマンスを決めるケイン photo/Getty Images
ここまで17ゴール13アシストの活躍
今シーズンのプレミアリーグは混戦を極めたものの、マンチェスター・シティが終盤にかけて圧倒的な強さで抜け出した。2位のマンチェスター・ユナイテッドとの差も開いており、ジョゼップ・グアルディオラ率いるチームの優勝は堅いと見ていい。
そんな中で注目したいのが個人のタイトル争い。今シーズンのプレミアでここまで17ゴール13アシストの大活躍でともに首位と2冠を狙う位置につけているのがトッテナムのハリー・ケインである。
2015-16シーズンから2年連続得点王に輝くなどスパーズの不動のストライカーとして長年君臨してきたケインだが、今季さらに進化したのがアシスト役としての働き。トッテナムの攻撃をつなぐリンクマンとしての役割も担い、ソン・フンミンやガレス・ベイルへのお膳立ても行うなどプレイの幅を広げてきた。
開幕から積み上げてきたアシストの数は13で、これはケビン・デ・ブライネやブルーノ・フェルナンデス、ジャック・グリーリッシュといった選手たちを抑えて1位。プレミアきってのチャンスメイカーたちにも劣らないチャンスクリエイターとしての新たな姿も見せている。
またここにきて得点ペースも上げつつあり、直近のアストン・ヴィラ戦でPKからゴールを奪い今シーズンのゴール数は17。リヴァプールのモハメド・サラーに並ぶ数字で、こちらも3回目の得点王を狙える位置につけてきた。
プレイの幅を広げ、フィニッシャーとしてだけでなくパサーとしても開眼した今シーズンのケインは個人としてのレベルを一つ上げた印象で、ロベルト・レヴァンドフスキやカリム・ベンゼマ、ルイス・スアレスといった欧州で経験を積んできた稀代のストライカーたちとも並ぶに値する存在といえる。
それだけの存在だけに、このイングランド代表FWをヨーロッパのトップクラスのチームで見てみたいという気持ちも働く。例えばベンゼマが33歳を迎えているレアル・マドリードでも、ケインは同じような役割で貢献できる資質を備えているだろう。
もちろん、トッテナムというチームでレジェンドになる道もある。現在6位につけるチームは来季のチャンピオンズリーグ出場権を争う位置におり、スパーズでプレミアリーグやヨーロッパのトップコンペティションを戦うのも一つのサッカー選手してのあり方である。
しかし、今シーズン周りを活かすプレイにも磨きがかかったケインという選手が今後どのようなキャリアを送っていくかは興味深い。また、夏には延期されていたEURO2020も予定されており、そこでのさらなる活躍によっては去就も注目されるだろう。今シーズンは選手としての幅を広げたと言え、進化した姿をケインは見せ続ける。