スパーズで出番増えぬ新加入DFに光明はあるか 追い込まれた男の逆襲に期待せよ

今季加入したトッテナムでなかなか出場機会が増えないドハーティ photo/Getty Images

WBでなら輝けるはず

昨夏大きな期待を背負ってトッテナムに加入しながらも、なかなか存在感を示すことができていない選手がいる。そう聞けば、多くの人はレアル・マドリードから復帰したFWガレス・ベイルのことを思い浮かべるかもしれないが、ウォルバーハンプトンからやってきたDFマット・ドハーティも新天地では当初思い描いていたような時間を過ごすことができていない。

昨季はウォルバーハンプトンで右ウイングバックを中心として公式戦50試合に出場し、DF登録ながら7ゴール5アシストの成績を残したドハーティ。タフなフィジカル性能と積極果敢な攻撃参加を持ち味とする彼を獲得したことで、トッテナムの右サイドは活性化する。そう信じていたファンは多かったことだろう。ジョゼ・モウリーニョ監督がセルジュ・オーリエのパフォーマンスに納得していないとの報道も出ていたことから、同選手に代わる右サイドバックのレギュラーになれる存在だとドハーティへの期待は高まる一方だった。

しかし、2020-21シーズンも終盤戦に入ろうとしている今でも、ドハーティはなかなかその真価を発揮することができていない。なかでも問題視されているのはそのクロス精度で、今季ここまでに出場したリーグ戦11試合でドハーティが記録しているクロス成功率は22.2%。現地時間21日に行われたプレミアリーグ第25節のウェストハム戦でも、4本供給したクロスのうち味方に通ったのはわずか1本だった。
満を持して移籍してきたトッテナムで逆境に立たされているドハーティ。そんな彼には、早くも今夏における移籍の噂が浮上している。英『Daily Mail』によると、モウリーニョ監督は現時点で同選手のパフォーマンスに納得しておらず、夏の移籍市場で再び新たな右SBのレギュラー候補を探すようクラブにリクエストしているようだ。ウォルバーハンプトンで最高級のパフォーマンスを披露していた彼だが、早くもスパーズで過ごす時間は終わりを迎えてしまうのか。

だが、ドハーティにもまだチャンスは残されているかもしれない。ウォルバーハンプトンでは3バックシステムの右WBを務めていただけに、トッテナムでも同じポジションを任されることになれば光明はあるだろう。たしかにクロス精度は改善しなければいけないものの、彼本来の持ち味は自由度の高いオーバーラップだ。SBのポジションでは単純なタッチライン際の上下動しか行えないシチュエーションも多かったが、WBでならウォルバーハンプトン時代に見せていたようなゴール前に侵入する動きも増やせるはず。モウリーニョ監督も状況次第では3バックシステムを採用する指揮官なだけに、今後自分の得意なポジションを任された際に存在感をアピールできれば評価大逆転の可能性もゼロではない。

「ドハーティは4バックの右SBに適した選手ではないが、3バックでならオーリエよりも優れているはず。モウリーニョはもう一度彼を本来のポジションで長い時間試してみるべきだ。そうすれば、彼がドハーティに対して抱いている疑念も払拭されることだろう。モウリーニョは柔軟な思考の持ち主だ。昨季も一時エンドンベレとの対立が報道されたが、シーズンが変わって彼はチームの中心になった。このフランス人MFと同様、ドハーティにもまだチャンスは残されているはずだ」

英『Daily Mail』も、新加入DFは指揮官の起用法次第で化ける可能性があるとこのように見解を示している。ウォルバーハンプトンですでにその能力は証明済みのドハーティ。現状トッテナムで立場は厳しいものとなっているが、この29歳はここから評価を大逆転させることができるのか。ウェストハム戦では同時に投入されたベイルと良い連携を見せていた場面も見受けられただけに、アイルランド代表DFの復活劇には期待したいところだ。

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